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『古事記と小泉八雲』を読む

神話の舞台となった島根
神々の時代から受け継がれた 豊かな自然・伝統・文化・人々の「こころ」が 今も息づいています。

小泉八雲 ラフカディオ・ハーンは、日本に来る前には『古事記』を読んでいたのです。

『古事記』と小泉八雲の繋がりについて、読んでみました。

『古事記と小泉八雲』
池田雅之 編著
かまくら春秋社 (2013.03.31)

かまくら春秋社【ブックレビュー】

http://kamashun.shop-pro.jp/?pid=58088529

小泉八雲が歩いた『古事記』の世界

小泉八雲が日本に関心を抱いた切っ掛け
チェンバレンによる英訳『古事記』

神話地図
「Idzumo Legendary Cycle」出雲神話群

黄泉比良坂

小泉八雲が最も気に入った『古事記』の神話の1つ

新編『日本の面影』(池田雅之 訳) より
「杵築」

日本には、神国と云う尊称がある。
そんな神々の国の中でも、一番神聖な地とされるのが、出雲の国である。

この国を生み、神々や人間の始祖でもある伊邪那岐命と伊邪那美命が、青いそらなる高天原より初めて降り立たれ、しばらくお留まりになったのが出雲の地なのである。

伊邪那美命が埋葬されたという地も、出雲の国境にあり、そこから伊邪那岐命は亡き妻の後を追って黄泉の国へと旅立ったのだが、ついに連れ戻すことは出来なかった。

その冥土への旅と、そこで遭遇した事の次第は『古事記』に残されている。

あの世の事を書いた古代神話は数々あるけど、これほど不可思議な物語は聞いた事がない。
アッシリアのイシュタルの冥界下りでさえ、この話には足許にも及ばない。

出雲は とりわけ神々の国であり、今もなお伊邪那岐命と伊邪那美命を祀る 民族の揺籃の地である。

【揺籃】ようらん
ゆりかご。比喩的に、物事の発展の初期の段階。

角川文庫【ブックレビュー】

https://www.kadokawa.co.jp/product/199999212004/

日本の民族信仰

1) 人間霊への信仰 祖先信仰
2) それ以外への信仰 アニミズム

死者への恐怖と、その魂の供養・祭祀により死者・祖霊から強い力を授かろうとする 祖先崇拝の根本精神を見出す。

小泉八雲は、1891年(明治24年)4月5日に古代出雲の "聖地" として、竹内神社・出雲郷のあたりを訪ねています。

『西田千太郎日記』より(抜粋)
4月5日(日曜) 朝晴 午後雨
意宇諸神社ヲ巡覧。竹内神社ヨリ出雲郷川ニ沿フテ大草村ノ六所神社及山代ノ真名井神社ニ詣リ団原ニテ休憩、午後 神魂神社、八重垣神社ニ出デ矢野原越ヲ経テ帰ル。

「出雲郷(あだがえ)」の語源は、神様の「阿太加夜(あだかや)」に由来します。
実はこの「阿太加夜」の神様は、その語源となったのが「安羅迦耶」であり、朝鮮半島南部の古代国総称が由来となっています。

また、同時に 小泉八雲は、ギリシャやローマに伝わる神話にも思いを馳せたことでしょう。

2020.11.05

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