『JAWS ジョーズ(IMAX)』映画感想文・子どもの頃の印象と違いました
ジョーズのIMAX版を観に行ってきました。
言わずと知れたパニックムービーの最高峰ですが、昔テレビで見た印象とはかなり異なっていました。
あらすじ
海水浴客でにぎわう夏の海に、突如として巨大な人食いザメが出現。若い女性が無残に食い殺される。警察署長のブロディは海水浴場の閉鎖を訴えるが、町の財政は夏の観光で成り立っているため、意見を聞き入れてもらうことができない。すると第2、第3の犠牲者が発生し、町はたちまちパニックに陥る。ブロディは若き海洋学者のフーパーと荒くれ者の地元の漁師クイントとともに、独断でサメ退治に乗り出す。
1975年製作/124分/アメリカ
原題または英題:Jaws
配給:東宝東和
劇場公開日:2025年1月10日
その他の公開日:1975年12月6日(日本初公開)
(『映画.com』より引用)
感想(ネタバレ含む)
テレビのロードショーで昔見た記憶では、男性三人の存在感が薄く、サメがもっとたくさん出ている印象でした。(テレビ用にカットされていたのかもしれません。)
サメが出てくるところは当然面白いとして、あらためて見ると、警察署長ブロディ、海洋学者フーパー、サメハンタークイントの人間関係が意外と面白かったです。
後半、サメを倒すために海へ出た全く性格の違う三人。
とくにフーパーとクイントは理論と実践にそれぞれ長けていることから対立しますが、元々はサメに魅了された二人のため、傷自慢をするうちに意気投合していくところが楽しかったです。
お酒飲んでる場合じゃないんですけどね。
そして、ブロディだけは主役のように見えて、妙に存在感が薄く、どこにも馴染めない人物。
島では赴任したてで説得力も影響力もなく、巨大サメの存在を疑いながら市長を説得できないのですが、船上でも二人のような武勇伝はなく、馴染めていません。
なにかと孤独なブロディはスピルバーグ本人なのかもしれません。
スピルバーグの作品は父親不在とよく言われますが、初期に限っては『激突』におけるトラックや、今作の巨大サメなどが父親のメタファーのように思えます。
特に知恵や力のない、頼りない人物が、圧倒的な敵を最終的に倒すというストーリーに魅力を感じていたのではないかと想像するのです。
一方、クイントさんはキャラが立っていて本当に良かったです。(サメも含めて)鑑賞後に最も印象に残った人物でした。
まず島民の安全を守るとか正義感で動いていないところが潔いです。
そして、これまで倒したサメの歯を戦利品のように飾っているところから、サメ命なのかと思いきや、「金がもらえたらサメはくれてやる」と発言。
ブロディがかけようとした無線を叩き壊してまでこだわったのは、サメなのか金なのか? その辺りは考察が進んで面白かったです。
当時1ドル=304円らしいので、懸賞金1万ドルは単純に304万円…これが高いかどうかも微妙なラインですね。
当初は金目当てだったが、現実に巨大サメを目にして、闘志に火がついたといったところかな?と想像しました。
最も威勢が良く、最も悲惨なやられ方でしたが、食われる場面を直接映したのは意外にもここだけだったため、非常にインパクトがありました。
そこだけはやはり、数十年経っても記憶に残っていました。
「ま、しょうがないよね…」というぼんやりした感想もそのまま同じでした(笑)
エンディングの浜に上がっていくブロディとフーパーがしみじみと良く、本当にいい映画を見たなぁという気分になりました。