#12 「子育て」③ 〜指しゃぶり〜
改めて、当時のことを振り返ると子供と関わる上で「もっと知っておけばよかった。」
と、思うことがたくさんあります。
あの時の言動は正しかったのか?
そんなことを今でも思い返します。
小学生になっても指しゃぶりや、人にくっついてくる子がいました。
当時の私は、「そんなことをしていると恥ずかしいよ。」
そんな風に言っていたように思います。
その子がなぜ、そのような行動をとるのかをもっと考えるべきだったと思います。
人の行動は無意識であっても、その行動をとらせる要因があります。
全ての行動には意味があると言ってもいいでしょう。
「指しゃぶり」に関しても様々な要因があると考えられます。
愛情の不足や、ストレス、欲求不満や緊張、不安、情緒不安定など・・・
例として乳児期や幼少期に愛情やコミュニケーションが十分にもらえなかった場合に
指しゃぶりなどの行動となって現れることもあります。
特に、乳児期は「口唇期」と呼ばれ、聴覚や視覚がまだ発達しきっていないこの時期は、
口唇から得られる感覚で満足を得ようとします。
お母さんから母乳をもらうことなどは、この代表的なものです。
そして、それがある程度満たされていくと自然に離れていきます。
人の行動原理は欲求です。
そして、欲求はある程度満たされ、満足すると過度には求めなくなります。
しかし、満たされない場合は、何かしらの代替案で我慢したり、満たされず求め続けることもあります。
エリクソンの発達心理学ではこの乳児期に必要なものは「愛情」と「スキンシップ」だと言われています。
そして、十分に「愛情」と「スキンシップ」がもらえるとベーシックトラスト(基本的信頼)を獲得する
ことができます。
自身が愛されている存在なのだと知ることで、自分の存在を肯定することができるようになります。
存在するだけで愛してくれる人がいること、気にかけてくれる人がいること、そういった経験が後の人生にも
大きく影響を与えます。
そして、これこそが自分をありのままに受け入れられる「自己肯定感」につながります。
幼少期に愛情が貰えないと、ずっと自己肯定感が低いわけではありません。
自己肯定感が低い場合は、それを解消する方法もたくさんあります。
しかし、この乳児期に与えられる愛情はその子の人生においてとても大きな財産になります。
昔、「抱き癖がつくからあまり抱いてはいけない・・・」
そんな風に言われる時代もありましたが、これも欲求です。
ある程度満たされれば、勝手に離れていきます。
無理に乳離れさせようとしても、それは不十分な欲求となって、その子に残ります。
子供が親と一緒に過ごせる時間は人生単位で考えると、とても僅かな時間です。
腹の立つこともあるでしょうし、時間に追われることも、疲れていてなかなか時間が割けないときも
あると思います。
できる限り、できる範囲でお子さんとの関わりの時間を大切にして貰えたらと思います。
それは間違いなく、子供の何よりも得難い財産になるでしょう。
Li(y)s 心理カウンセラー 北原 正一郎