2016年熊本地震「奇跡の避難所」③~動き始めた街
熊本市街地に入ると、壊れた屋根を覆うブルーシートが急激に減る。逆に増えてきたのが、波打った道路だった。ただの段差じゃない。まるで超難関ゴルフコースのグリーンのように、縦横にうねっている。行き交う車を縫うように、作業員が道路面の段差にアスファルトを埋めている。
「補修前ならバンパーごと吹っ飛んでますね」。ハンドルを握るトシは、段差を越えるごとに体を揺らす衝撃に、地震が残した爪跡の凄まじさを体感した。阪神大震災直後に神戸へ就職したトシは、高架が途中でちぎれた高速道の光景を思い出