火災発生直後〜避難所生活(火事の後始末 Part3)
前回は、実家全焼から最初の1週間を時系列で振返りました。
今回は、火災発生直後からの避難所生活についてです。
公的支援の現実
火災発生直後、家を飛び出した家族は、裏庭や近くの空き地に避難していたと聞きました。
そこで市の生活福祉課の方から、緊急セット(赤いバッグ)と人数分の毛布を住民票と照合しながら渡されたそうです。
今思えば、生存者確認をしていたのでしょう。
緊急セットは、持ち出し用の救急箱のような内容でした。
幸いなことに、怪我人はいなかったので使うことはありませんでした。
案内状には「この緊急セットは日本自転車振興会から、競輪公益資金の補助を受けてお贈りするものです」と記載されていました。
調べてみると「日本自転車振興会が日本赤十字社から補助申請を受けて、2011年東日本大震災をきっかけとした非常災害援護事業」の一環だそうです。
併せて、市から災害見舞金の案内もされたそうです。
単身世帯の場合は2万円、2人以上なら一律3万円。
そう、2人でも7人でも同じ金額!
火災保険の補償がない私たちにとっては、これが公的支援のすべてでした。
悲しい現実ですが、保険に入っていないので受け入れるしかありません。
内閣府が公表しているデータによると、火災保険の加入率は82%だそう。
(内閣府試算による「持家世帯の保険・共済の加入件数・割合(建物のみ)2015年度末時点 引用:内閣府「保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会(参考資料)平成29年3月」)
今の時代、空き家になった実家の維持費が高いからと火災保険に加入していない人も多いのではないでしょうか。
もし火災に遭い(それがもらい火であっても)、更地にするだけでも坪単価で約4〜5万円の解体費が発生します。
この記事を読んでいるみなさんには、今一度ご自身の火災保険加入状況の確認をお勧めします。
一時避難から避難所へ
毛布をもらった後、行き場の無い家族をご近所さんが家に招いて避難させてくれたそうです。
早朝からお昼過ぎまで居させてくれて、食事や衣類、靴、こたつなど必要なものを譲ってくれたと聞きました。
また、妹は近所のお友達の家で暖を取らせもらったうえに、子供たちの衣類などもいただいたそうです。
近所付き合いって本当に大切ですね。
多くの方に支援をいただき、今思うのは「日々のコミュニケーションこそ、最大の防災に繋がるのではないか」ということです。
初日の夕方から、避難所での生活がはじまります。
習字教室などで使っていた倉庫の2階で、トイレと流し台がかろうじてある程度の場所です。
私が夜に合流したときには、全員がまだパジャマのままでしたので、 持参した服を渡します。
この時点で所有していたのは、ご近所さんたちがくれた差し入れ、赤十字から配布された緊急セットと人数分の毛布だけ。
あまりの荷物の少なさに「本当にすべてを失ったんだな」と感じました。
食事やお風呂、洗濯
食事はご近所さんにいただいたカップ麺やパンなどの差し入れが大量にあったので、そちらをいただいたり、スーパーでお弁当を買ってくることが多かったです。
外に出ていく服がないことや、気持ちが落ち込んでいるので、外食へ行こうという気にならないのです。
友達が握ってきてくれたおにぎりが、どれだけ嬉しかったことか。
もし避難所に差し入れをするなら、机や食器もない場合もあるので、片手でつまめるものやお箸や紙皿なども一緒にあると喜ばれると思います。
避難所はお風呂がないので、近くのスーパー銭湯へみんなで通いました。
こんな火事でもなければ、離れて暮らしていた家族とみんなで一緒にお風呂に入ることはなかったので、ちょっとしたサバイバル旅行気分でした。
洗濯物は、数日分をまとめてコインランドリーで洗っていました。
避難所生活で学んだこと
基本的には、避難所と役所やスーパー、ドラックストアなどを行き来する生活でした。
住処や生活がいつどうなるかわからないので、必要最低限の物しか買えません。
避難所でもゴミは出るので、ものを増やさないことも大切です。
ゴミは燃えた家の回収日に合わせて車で運んでいました。
避難所生活は最初こそ「家族みんなで川の字で寝るなんで何十年振りだろう」なんて感動すらありましたが、日に日に慣れない狭い場所での共同生活に疲れが出始めます。
プライベート空間がなく、弱音も吐けない環境が日を追うごとにストレスになっていきました。
それはきっと口に出さないだけで、家族それぞれが感じていることだと思います。
私がメンタルをやられてしまったら支援に来た意味がないと思い、東京から夫を呼び出し、私だけ避難所から出る選択をしました。
結果、メンタルは落ち着き、余裕を持って支援に取り組めるようになりました。
気持ちに余裕がない人が支援できるはずがありません。
一緒になってパニックになるでもなく、一歩退いて支援をする、大きな学びでした。
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新しい生活に必要なものを選んでいます。
ご支援いただけるととてもありがたいです。
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実際に火災の当事者になり、火災に遭ったあとの行動や手続きについてまとまった本やブログはとても少ないことに気がつきました。
火事に遭ったときに手に取れるガイドブックにしたいです。
書籍化して、書店や消防署に置かれるようなものを作れたら良いなと思っているので、書籍化の手段をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非お力を貸してください。
【取材歓迎】
火事の実体験についてお役にたてそうなことがあれば、horiikemaki<at>gmail.comまでご連絡ください。