想像を超えて支援が集まったことを話します(火事の後始末 Part5)
前回は、火事後の生活再建の様子をレポートしました。
今回は、多くの支援をいただいた内容とその裏側を綴りたいと思います。
私たちの場合は、主にFacebookを使って支援を募りました。
振り返ってみれば、当事者が支援を募るより、当事者の周りの人が動くことの方が効果が大きいと感じています。
当事者自ら「助けて欲しい」「見舞金振り込んで欲しい」と言いたくても言えない環境や性格など、さまざまな理由があるはずです。
大切な人がピンチの時、代わりに実行できるのはあなたかもしれません。
見舞金口座
実は一番気がかりだったのがネットで見舞金を募ることでした。
ネットの意見はさまざまで、法律的に問題ないのか決定的な安心材料はありませんでした。
心配だったことは、大きく2点ありました。
最終的に、国税庁に電話して解決しました。
わからないことは、管轄元に直接聞くということすら忘れてしまってました。
SNSで「たぶん国税庁に電話したら教えてくれますよ」とコメントを下さった方のお陰です。
国税庁の回答はこうでした。
また「法人の場合、会社の規模などで年間に寄付できる額に上限があるため、額によっては税理士に相談した方が良いかもしれません」と細かくアドバイスをいただきました。
なんと、最初の心配事はあっさりと解消されました。
ですが、まだ少し気になることがありました。
見舞金がいくら集まるかはわかりませんでしたが、もし私の銀行口座で見舞金を募り親の口座に送金する場合、贈与税(年間110万円以上が対象)がかかる心配がありました。
なので念には念をということで、私の口座ではなく母の口座を使用することにしました。
見舞金の窓口として使用する口座は、お金の管理がしやすいように普段あまり使っていない口座がベストだと思いました。
ただ、急に不特定多数の人からの振り込みが始まると、マネーロンダリングや詐欺に使われていると疑われて口座凍結にならないかと心配でした。
ここも銀行に直接確認するのがベストだろうと考え、母に銀行に行ってもらいました。
母だけでは少し不安だったので、銀行の窓口でスマホをスピーカー通話にしてもらい、電話口に私も同席する形で確認をしました。
相談した結果「支店長に確認してきました。口座を止めることはないのでご安心ください!」と直接聞くことができ、心の中ではガッツポーズしました!
これでやっと安心して見舞金口座の準備をすることができました。
火災発生から8日後に見舞金口座を公開でき、なんと初日に58万円もの見舞金が振り込まれました。
日に日に増えていく見舞金と、通帳に並んだ支援者の名前を見て泣きたくなるほど感動したのを今でも鮮明に覚えています。
見舞金口座への振り込みは、火災から1ヶ月半を過ぎても続きました。
また、海外からPaypal経由で送ってくださった方までいました。
結果、見舞金の合計額はなんと192.2万円にもなりました!
想定を遥かに超える支援額に感謝してもしきれません。
いただいた見舞金は、新居への入居費用、家具・家電一式、母の軽自動車、父の電動自転車、車の修理費用などに充てることができました。
Amazonほしいものリスト
見舞金は振込手数料がかかることや、現物の支援の手段として、Amazonほしいものリストを活用しました。
2016年の熊本地震で被災地支援に使われていたり、誕生日プレゼントの募集に活用している友人もいて、Amazonほしいものリストの存在は知っていました。
Amazonほしいものリストとは、自分が欲しいものをAmazonに登録されている商品からリストにして、それを見た方が購入し、Amazonが届けてくれるサービスです。
お互いの住所は非公開でOK、名前もニックネームや匿名にすることも可能です。
贈る側は「相手が欲しいものを支援できる」、受け取る側は「本当に必要なものを受け取れる」というメリットがあります。
Amazonほしいものリストのページは私が用意し、甥っ子を共同編集者にして今後の生活に必要なものを選んでもらいました。
甥っ子(中2)は学校生活に必要な物や服を、下の子(6歳、1歳)にはミルクやおむつ、保育園に必要な道具などをリストに入れました。
引っ越してからは、ふとんやカーテン、日用品などの生活必需品も追加していきました。
実際にやってみた気づきとしては、
などと、さまざまな支援の形を感じました。
リストを公開した1月末から5月現在で、これまでに369点(総額約90万円相当)ものギフトを頂戴しました。
ご協力くださったみなさま、本当にありがとうございます。
甥っ子が届いた段ボールごとに物撮りをして、ギフトと支援者の名前をGoogleスプレッドシートにまとめて報告してくれています。
甥っ子から報告を受けて、私たち夫婦から支援者にお礼の連絡をするという流れを繰り返していました。
届いた商品を見るたびに、「これは〇〇さんに買ってもらったもの!」と贈ってくださった方の顔を思い出します。
Amazon公式のリスト作成方法はこちらに載っています。
実際に私が投稿した案内文を載せておきますので、必要な方はカスタマイズして活用ください。
======ここから======
まず、こちらへアクセスしてください。
●●●●のほしいものリスト
https://amzn.to●●●●●●●●
①欲しいものリストの中から、プレゼントしたい商品を選びます。(選び方は、商品の右側にある「カートに入れる」をクリック)
②クリックすると、「追加されました」と表示され、「カートに入れる」の部分が「レジに進む」に変わります。
③「レジに進む」をクリックすると、《お届け先住所の選択》の画面になります。この時、一番上にある『●●●●の「この住所に届ける」をクリックします。
④画面が変わり、《ギフト包装を選択》の画面では、包装はなしでOK!その下にある「ギフトメッセージ」には、お好きなメッセージを入れてください。(自動的に「ギフトをお楽しみください」と送り主の名前(Amazonの登録アカウント名)が入っています。)
⑤「ギフトの設定を保存」をクリックすると、《発送オプションと配送オプションを選んでください》の画面に。お好みの配送オプションを選んだら、「次へ進む」をクリック。
⑥《お支払い方法を選択》の画面になるので、支払い方法を選びます。支払い方法を選ぶと「続行」がクリックできるようになります。
⑦「続行」をクリックすると、《請求先住所を選択してください》という画面になります。請求先は、ご自分の住所になります。
⑧《プライムをオススメされる画面》が出てきます。この時、今までどおりの黄色い「次に進む(試す)」を選択すると、30日間の無料体験が終了と同時に【プライム会員】という【有料サービス】へ自動的に変わり、月額料金が引き落としされます。
【プライム会員になりたくない】方は、画面の下中央に水色の文字で書かれている「プライム無料会員を試さないで注文を続ける」をクリック。(すでにプライム会員になっている方は、この画面は出ないと思われます。)
⑨《注文内容を確認・変更する》の画面で、全てOKなら「注文を確定する」をクリック。すると、《注文確定画面》が表示され、プレゼントを届ける準備が完了となります。
======ここまで======
Amazonほしいものリストは現在でも募集中です。
もしよければご支援いただけると嬉しいです。
▼堀池実家火災支援のAmazonほしいものリスト
クラウドファンディング
友人が申請にトライしてくれましたが、惜しくも審査が通らずでした。
海外のクラウドファンディングでは個人的な応援イベントが行われていますが、日本の場合は社会性がないと難しいことが後にわかりました。
同じようなもらい火で全焼してクラファンを立ち上げていた事例もありましたが、歴史ある飲食店で市を挙げて応援しているような規模で、個人の家の火事では見つけられませんでした。
▼もらい火で全焼した飲食店のクラウドファンディング事例
応援コメントには市長からのメッセージまであります。
私たちの場合、このような社会性はありません。
そして、仮に再度申請にチャレンジして実施できたとしても、入金までに数ヶ月の時間がかかることなども考慮して、クラウドファンディングは見送ることにしました。
さまざまな支援の形
これまで説明した支援の形以外にもさまざまな支援をいただきました。
・サイズアウトした子供服やおもちゃの寄付
・飲食店経営者から食料品の寄付
・大人の衣類や食器、備品の寄付
・SNS投稿の拡散
・SNS投稿を英語翻訳して拡散
SNSでの投稿やシェアを協力いただいたお陰で、直接繋がりの無い方からの支援もたくさんありました。
個別に繋がっている方にはお礼をお伝えできましたが、連絡先がわからず直接お礼をお伝えできていない方も多くいらっしゃいます。
この場を借りて、お礼いたします。
そして、個人的に嬉しかったのは、オンライン会議場所の提供でした。
リモートで仕事をしながらの支援だったので、はずせない打合せが入ることもありました。
ファミレスや避難所で話せる内容ではない中、地元企業にお勤めの方が「会社の会議室使っていいよ」と場所の提供を申し出てくれた時は本当にありがたかったです。
また、「ちょっと遠いけど、よければ一時避難所に空き家を提供するよ」や「高知でよければ住める家あるよ」など エリアを超えて提供できる支援のご連絡をくださったこと、大変ありがたかったです。
支援の一部始終をSNSで発信していたので、私に対しても「旦那さんからお花が好きって聞いたので」とフラワーアレンジメントを送ってくださったり、「休憩時に食べてくださいね」と地元のお菓子を送ってくださったりと、嬉しいお心遣いをいただきました。
自分ができることで相手の役に立ちたい
そんなみなさんの気持ちが伝わってきて嬉しかったですし、私も今後困っている人がいたら自分ができることを実行しようと心に刻みました。
あなたの大切な人が火事の当事者になった時、今回ご紹介した支援の募り方を思い出してください。
再現性のある手段だと思うので、きっと役に立つと思います。
ただし、募るタイミングや募り方も重要だと感じました。
次回は、支援を募るときに心がけていたことについてもお話したいと思います。
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実際に火災の当事者になり、火災に遭ったあとの行動や手続きについてまとまった本やブログはとても少ないことに気がつきました。
火事に遭ったときに手に取れるガイドブックにしたいです。
そのために、この記事を出版社に持ち込みたいと考えています。
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【取材歓迎】
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