"決められない"憂鬱 〜リーダー"ごっこ"の成れの果て〜
アンドア株式会社の堀井です。最近多くの組織でよく見かける、しかし誰もが口にするのを躊躇する問題について語ろうと思います。それは「決められない上司」の問題です。
ある企業の若手社員から相談を受けました。 「うちの上司が全然決断してくれないんです。いつも『もう少し様子を見よう』って言うんですよ。でも、そのたびに仕事が滞って...」
この話を聞いて、私は思わずため息をつきました。というのも、これは決して珍しい話ではないからです。むしろ、多くの日本企業で蔓延している問題だと言えるでしょう。
問題の事象:「決められない」上司の実態
「決められない」上司によって、メンバーは疲弊しています。具体的にどんな状況が起こっているのか、いくつか例を挙げてみましょう。
こういった状況下では、「決められない」仕事は全てメンバーに降りかかってきます。しかも、「決められない」上司は、メンバーを助けてくれません。結果として、メンバーは過度なストレスにさらされ、モチベーションが低下していきます。
問題の本質:なぜ「決められない」上司が生まれるのか
では、なぜこのような「決められない」上司が生まれてしまうのでしょうか。その背景には、いくつかの要因があります。
まず、多くの場合、彼らは決めることを避け続けてきました。或いは、すでに決まった仕事をこなすことに慣れすぎてしまったのです。つまり、「自信がない」のは、単に決める経験を積んでこなかったからなのです。
さらに、近年の「ハラスメント」への過敏な反応も、この問題に拍車をかけています。「強く指示をすると、パワハラと言われるのではないか」という恐れから、曖昧な指示で済ませてしまうケースも少なくありません。
また、最近の「ゆるい」リーダー育成の風潮も一因でしょう。「メンバーの自主性を尊重する」という名目で、実は責任回避をしているケースも見られます。しかし、これは本当の意味でのリーダーシップとは言えません。むしろ、「リーダーごっこ」と呼ぶべきでしょう。
組織をごっこ遊びの場にしてはいけません。真のリーダーシップとは、時に困難な決断を下し、その責任を負うことも含まれるのです。
解決提言:「決める」人材の輩出に向けて
では、この問題をどのように解決していけばよいのでしょうか。いくつかの方策を提案します。
まず、持論を話すメンバーを大切にしましょう。彼らはダイヤの原石です。自分の意見をはっきりと述べる人材は、将来のリーダー候補となる可能性が高いのです。
次に、安全に「決める」練習をさせることが重要です。例えば、小規模なプロジェクトの責任者を任せるなどして、決断の機会を与えましょう。その際、不測の事態やリスクは上司がカバーするという安全網を用意することで、安心して決断できる環境を作ります。「決める」ことを繰り返すことで、判断軸が養われていきます。
一方で、「決めない」「わからない」上司に対しては、毅然とした対応が必要です。場合によっては降格も検討すべきでしょう。これは厳しい措置に思えるかもしれませんが、組織全体の健全性を保つためには必要な決断です。
人事部門の役割も重要です。どのようなマネジメント層を揃えたいのか、人事自身が「決める」必要があります。優秀な人材を失わないためにも、適切な人事評価とフィードバックのシステムを構築することが求められます。
最後に:「決められない」は変えられる
「決められない」上司のもとでメンバーが燻る事例を、私はこれまで数多く見てきました。リスクを避けたい、保身をしたいという気持ちはわかります。しかし、他人のキャリアを巻き込んでまで「決めない」ことは、あまりにも無責任で迷惑なことです。
真のリーダーシップとは、時に困難な決断を下し、その結果に責任を持つことです。そして、その過程でメンバーを成長させることでもあります。
「決める」トレーニングと、「決める」人材の登用に意識を傾けることで、組織は活性化し、個人も成長していく案件に関わってきました。
制度が、
テキストが、
講師が、
良い成果を”くださる”のではありません。
「決める」人にだけ、良い成果はついてくるものです。
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