風が作る個性
「貿易風に当てた」という名のインドの豆。
大航海時代の帆船の船倉に入れられたコーヒー豆が、インドからヨーロッパに運ばれて行く半年の間に、その貿易風に当たった豆が緑色から黄金色に変わっていき、独特な香味を持つようになっていったとか。
輸送の時間が大幅に短縮された現在では、その豆はもう過去のものとなっていますが、その風味を懐かしみリバイバルを求める声に応えて、精製後に風に当てる「MONSOONED」で作られた豆が、「インド モンスーン マラバールAA」です。
風に当てる工程が全部で6~7週間あるこの方法で、独特な香りを持たせているこのコーヒー。
ナッツやハーブ感が、畳の上に座っているようなほっこりした気分になるモンスーン独得のフレーバーに乗って、どこか懐かしさを感じる味わいです。
当店の焦がさない焙煎で、豆のほとんどが通常多かれ少なかれフルーティーな酸味を持つのですが、このモンスーンではほぼ酸味を感じず、じんわりと甘味が続く印象深い、とても興味深い豆です。
独得の香ばしさの感じからして、この豆は焙煎後1~2か月ほど加圧下に置いておくと、化けてくるのではないかと思っています。
この豆はできたら、瓶詰でお手元に置いておいていただき、今飲んだ後2か月後くらいに開栓していただいたら面白いと思います。
India Monsooned Marabal AA
〈地域〉インド西南 マラバール海岸付近
〈品種〉アラビカ種
〈標高〉1350〜1450m
〈精製方法〉モンスーン
〈テイスティングノート〉
ブラウンシュガー、カレンツ、香ばしさ、ナッツ、日向の香り
当店では、
・焦げ味が出ないように焙煎し(焦がさない焙煎)
・焙煎直後から耐圧容器内で圧をかけて保存する(加圧熟成)
ことで、さらにまろやかな味が持続することを目指しています。
味の定着には、焙煎してから1週間もしくはそれ以上、二酸化炭素で圧をかけて酸素に触れない環境下(ビール樽内やビール瓶内など)でコンディショニングを行います。
これで、様々なコーヒーの持ち味が、バラバラではなく角がとれてまろやかにまとまります。
そして、樽から出した後も、空気が触れないような容器の中であれば、さらに味は良いほうへ変化していきます。
お客様のお手元で、是非コーヒーの成長をお楽しみいただければと思います。
当店のコーヒーは、沸騰直後のアツアツのお湯で淹れることを推奨しています。
焙煎による苦味がないので、お湯の温度を下げる必要がなく、逆に高い温度で淹れることで豆が持っている個性がはっきりと出ます。
ペーパーフィルターで淹れて、すっきりとしたフレーバーを楽しむのも良いですが、コーヒー豆のオイルも一緒に抽出されるフレンチプレスのような淹れ方も、甘味が余すところなく出てオススメです。
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