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短編: 青写真とか理想とか

青写真とか理想とか、本当は何もなくて
自分の想い次第じゃないかって

星空を見上げて
「今日は風がなくて少し暖かい日だったね」
「このまま続けば春かな」

きっと出会うことはないだろうけど 
もう1人の自分が
この広大な宇宙のどこかには
存在するんじゃないか、と

そういえば、前にこんなことを言ってたね

「なんかね」「うん」
「この間、『あなたと私は親戚ですか』訊かれて」
「親戚?」
「そう、雰囲気が似てるらしいよ」
「毎日会うと似てくるのかな?」
「他人に見えないんだね」

こんなに真っ暗な日々を
全部 薔薇色にしたくて
もう1人の自分に
出会ってみたい

「あれから、もう1人の自分に出会った?」
「う〜ん、どうかな」
「そっか」「うん」

人の噂では、あなたは子どもの頃から優秀で
ここにいるからには、経歴も立派なのかなと
推察するのも不要な
いつも誰かに囲まれて談笑していたし
あなたから話を聞いて、意外だったけど

泣き顔ばかりの今の自分が
笑顔あふれるもう1人の自分に
出会うことができたならと

「心の中で泣いてるの?」
「そうだね、キミに泣かされてるからさ」
「私のせい⁈  昔は心で泣くことはなかったの?」
「昔は…昔は…心があったのかな」

「じゃ、なかったものが芽生えたの?」
「ふむ…どうかな」

もっと自分の気持ちに
誠実に生きているもう1人の自分が
この広大な宇宙のどこかに
存在していると信じてみたいのです

存在して、既に出会っているかもしれないよ
さっき、あなたは笑ってたじゃない

「おはよう」の時、「またね」の後
あなたは微笑んでいる
「もうさ」から始まると、大概怒っていて
弾む声の先には「観たい映画、見つけた」

「もう1人の自分って、姿形に理想がある?」
「う〜ん、うん。女優みたいな美人」

今日も夜空を見上げて
とりとめのない夢想に
溺れているのです

「3月、桜を見に行きたいな」
「なんで?」「なんで?」

「キミは もう1人の自分を探しに行くといい」

#シロクマ文芸部
#小牧幸助さん
#青ブラ文学部
#山根あきらさん