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 理沙ちゃんママは、いつもと変わらず大声で自分の育児法を語っている。

 理沙ちゃんママの周りには、何人かのママ友が集まっているが、彼女の言葉はどんどん強くなっていく。

「うちの子は毎日何でも食べてるから、健康よ」
他のママたちの反応を気にせず、理沙ちゃんママは雄弁に語る。

「でも、うちの子はアレルギーがあって」
他のママが言いかけると、
理沙ちゃんママはすぐに遮り
「それは甘やかしよ」

 周りの空気がピンと張り詰めた。

 ママたちは互いに目を合わせ、どう反応しようか迷った。結局、誰もが心の中で「理沙ちゃんママ少し落ち着いて」と思っていた。

 理沙ちゃんママさんは公園に来るたび、少食やアレルギーを持つ子どもの母親をネチネチと責め続ける。

「また果物を持ってきたの?子供に良くないわよ」理沙ちゃんママは、
優奈ちゃんママのバッグを指差す。

 優奈ちゃんママはため息をつきながら
「果物はたまにだから、気にしないで」返すが、
理沙ちゃんママは耳を貸さない。

「本当に子供のことを考えているの?
嘘をついているんじゃないの?」

 周りのママたちは気まずい空気に包まれ、沈黙ができ、あっちこっちに視線を向ける。

 誰もが理沙ちゃんママの執拗さに疲れていたが、優奈ちゃんママは負けじと反論する。

「私は優奈のアナフィラキシーショックが怖いの。
お医者さんだって、それでいいと言っているわ。
理沙ちゃんママのやり方が全てじゃないの」

 反論を聞いた理沙ちゃんママは、少し驚いた表情を浮かべた。心の中では自己防衛の壁が崩れそうになっていた。
 しかし、プライドが邪魔をして素直に謝ることはできなかった。

 翌日には優奈ちゃんママが野菜スティックを持参した。

 理沙ちゃんママは見逃さない。
「今度は野菜だけ?本当に子供へ悪影響だわ」
攻撃を始める。

 優奈ちゃんママは冷静に
「優奈が喜ぶなら、それでいいの」

 周りのママたちも優奈ちゃんママに賛同するように頷いた。

 理沙ちゃんママは少し孤独を感じた。



 マンションへは公園で遊ぶ子ども達の声を聞こえてくる。しかし、理沙ちゃんママは他のママ友の視線が怖くて、外へ出たくない。

「なんなの。
嘘つきのくせに人を仲間はずれにして」

 沸々と優奈ちゃんママへ仕返しを考える理沙ちゃんママの頭に、他人の事情や我が子を想う余裕などない。
 結局、今日は誰も理沙ちゃんママを誘いに来ず、時間だけが静かに流れた。

 優奈ちゃんママは嘘をついたわけではない。
しかし、理沙ちゃんママの思い込みは結果として、周囲から『意地悪な人』『執拗に責める人』『価値観を押しつける人』のレッテルを貼られてしまった。

   🌟🍋˚✧₊⁎ちゃりれれさん⁎⁺˳✧༚🍋🌟

お世話になります
『論よりショート』で物語を書いてみました
私がアレルギー持ちで
甘やかされて育ったと責められたのを基にしました

いつもありがとうございます🎶

#ちゃりれれさん
#論よりショート