ショート: 流行を前に棒立ちになる
テレビを観なくなり、ネットの芸能ニュースも興味がないせいか、若い芸能人の区別がつかない。
そもそも、国籍がどこか日本人かも分からない。
たまに観る時代劇は、往年のスターの顔も判別不能で、僕は老化現象に落胆する。
畳みかけるように、会社の子は
「梶原さん、凄くないです?めっちゃ可愛い」と
割り箸を見せてくる。
帰宅すると、息子が「ヤベーわ」
大量の耳かきを愛おしそうに鑑賞し、
娘はうちわに綿棒を貼り付け、装飾の最中。
東京ドームでイベントがあると、はしゃぎ声。
「綿棒のチケット、取れないんだからね!」
動画再生数が高いのは、
海岸を後ろに流木が、変哲なく折り重なって、
棒が流行ってなければ、潮を眺めていただろう。
ここまで棒っ切れが流行するとは、時代も変わった
…など、妻に漏らすと
「あら、私達の時代も反省するサルや
白いイヌがアイドルだったでしょう?」