「ご馳走」は思いが詰まっているような
昨日、誕生日だった友達は
わたし達と同じく幼なじみの子の家で
ご馳走を振る舞ってもらったという
数年前、わたしの誕生日もそうで
リラックマが寝ている「キャラクターオムライス」
上手に作るなぁと感動して食べた
「ご馳走」には、人それぞれの好みが反映し
高級店を指す人や自分の好きな食べ物を推す人
人柄までは出なくても
「ご馳走」は思いが詰まっているような
新卒で働いていた時代
1つ上の藤田さんが仕事で疲れると
「給料日は絶対ケンタを買う、ご馳走食べる」と
わたし達、後輩に力説していた
食べるってパワーの源かと感じたのも、この頃
刑務所部屋と呼ばれた、わたしの家は
飾りのない空洞化した部屋で
ご馳走が程遠い、質素な暮らしをしていた
やがて、奈々が家族になり引っ越しをして
奈々といるから、人間らしい文化的な時間を過ごす
奈々の誕生日やクリスマスは
とびきり美味しい物を食べさせてやろうと思った
ひとりで見る風景は寂しい
だけど、奈々がいるだけで大きな光が射し
「奈々が喜ぶかな」と、選ぶのが楽しかった
彼氏がいても埋まらない心の穴を
モノ言わぬ奈々は、どんどん埋めていく
奈々は高価な食べ物を好まず、定番のみ食す
「ご馳走って雰囲気で左右されるんだよ」
素知らぬ顔で毛繕いする背が言っているようだった