
Photo by
hidemaro2005
キツネの嫁入りとクリエイティブ
ひさしを打つ雨音がリズムを乱した頃
地面を占めるように陽が射した
雲を避けた太陽には、青空が取り囲み
「キツネの嫁入りだな」
天気雨の呼び方が、妙に可愛い
うちの近所にはキツネが住む
深夜にゴミ捨てへ出ると
痩せぎすな犬に見えるキツネが道の真ん中を歩く
晴れが続く昼下がり、玄関ポーチで昼寝するキツネ
艶のない、しっぽの大きなキツネ
昔から、うちの住宅地にはキツネがいた
お母さんキツネと子ギツネ2匹が
通学路を闊歩していた
よそはタヌキでうちはキツネ
わたしにとっては、自慢のキツネ
平和の象徴は親子のキツネ
けして絵本に入れない分
気分だけはメルヘンな世界に浸りたい
情緒を育むには、良い場所に住んでいたと思ったり
次々と更地が広がり、ハウスメーカーの家が並ぶ
シャープで洗練された土地になってゆく
一抹の寂しさは
古いものを一掃し、殺伐とした上に立っている
キツネが住む場所だけは残してほしい
悲しいかな、人工美は自然美より勝る
欠点のない精巧さが味を打ち砕く
何を以って美というのかは、主観の違いがあっても
「キツネの嫁入り」を見て、感動する
Snowで加工した子に心が動く人達には無縁の話だよ
