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真面目に生きても酷い目に遭う

学生時代
わたしはバイト先で知り合った友達と遊んでいた

美恵ちゃんと典ちゃん、わたしはいつも連み
美恵ちゃん家は溜まり場だった
美恵ちゃんや典ちゃんの友達も出入りする
わたし達はそれぞれ合鍵を持っていた

美恵ちゃんは
「アルコール・タバコ・男」を室内禁止にしていた

わたし達は夕飯を作りながらDVDを観たり
美恵ちゃんの部屋にはピアノがあり
音大の美由紀ちゃんが弾くピアノを聴くなど
割と優雅なお嬢さまチックな時間を過ごした

美恵ちゃんは自動車学校で知り合った子も家に呼び
たまに顔を出していた
わたし達より歳下で、量産型まったり女子だった
名前は覚えてない

話すのも、動作もおっとりふんわり
ポジティブで笑顔が絶えない
ぶりっ子なのか天然か判らなかった

ある夕方
美恵ちゃんから泣きながら電話があった
「今すぐ来て欲しい」
電車を乗り継ぎ、駅から遠い美恵ちゃん家に走った

美恵ちゃんは玄関ドアの前でしゃがんで泣いていた
ゴキでも出たのかと思い
泣きじゃくる美恵ちゃんと部屋に入って仰天した

開けた窓、風にレースのカーテンがしなやかに靡く
なのに、タバコの臭いが強烈で
ペットボトルやコンビニ弁当の空が散乱し
開けっぱなしの寝室のベッドが荒れていた

ベッドを見て、瞬間に察した

美恵ちゃんが講義を終えて帰宅すると
自動車学校で知り合った子が男と…

泣く美恵ちゃんを座らせ、わたしは片付けをし
後から合流した典ちゃんに顛末を話した

わたしの中から「出来事」が忘れかけた頃
また美恵ちゃんから電話があった
早朝で、これから1限に向かう前

とりあえず、友達に代弁を頼み
美恵ちゃんの家に向かう

部屋の中は几帳面に片付いた、毎度の光景

美恵ちゃんは青白い顔でベランダに座っていた
頭痛がするので、今日は「休む」という
典ちゃんが先に駆けつけおり
典ちゃんがわたしに説明してくれた

明け方、美恵ちゃんが声と物音で目が覚め
リビングを開けると
また自動車学校で知り合った子が
男を連れ込み…最中だったらしい

「すぐに仲良くなった子へ合鍵を渡すから」
典ちゃんのたしなめた言葉は届かず

美恵ちゃんはNoが言えない子だった
真面目で、バイトでは働き者、皆に優しい
美恵ちゃんの気の弱さにつけ込む人がいた
家を引越すまで3回も酷い目に遭った

教訓: 真面目にきちんと生きても酷い目に遭う