連載: 不幸ブログと現実のキミ⑧
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第八話
真百合が頬を叩かれ、周囲の空気が固まった。
真百合の目は驚きと恐れに溢れ、自分がどこにいるのか分からない錯乱状態だ。
陽菜の手が彼女の頬に当たった音が私の耳へ残り、立ち尽くす。
「どうして誠意がないの?」
陽菜の声は低く、怒りが滲んでいる。
「私たち、あなたを信じようとしていたのに」
真百合は言葉を失い、目から涙がこぼれ落ちる。頬を伝ってニットに染み込んでいく。
ごめんなさい……。彼女は小声で呟き、
「でも、私はもうどうしたらいいのか……」
菜摘は真百合の様子を見て心配そうに近づいた。「あなたが本当に謝りたいと思っているなら、
もっと誠実に向き合わなきゃ駄目だよ」
さっきまでハイテンションだった真百合はうなだれ、地面に座り込んだ。
彼女の心が崩れ落ちるのが仕草に出ているように。真百合の言動が自分自身を責める声となって響いているのか、狼狽している。
「被害者に会うつもりだった。
ちゃんと謝りたかったのに…」真百合が泣く。
陽菜は屈むと真百合の目を真っ直ぐに見つめる。「怖いのは分かる。
だけど今、逃げちゃいけない。
自分が犯したことに向き合わなければ、何も始まらないのよ」
陽菜の言葉が私の心へも刺さる。
私も自分の過去を背負い、向き合う勇気を持たなければならないと感じる。
私も真百合も自分を許すことができるのか、
それとも永遠に逃げ続けるのか。
「もう一度、あの人に連絡してみる」
指で涙を拭いながら真百合は決意を固めたのか
「ちゃんと謝りたい」
菜摘と陽菜は驚き、互いに顔を見合わせた。
「本当に?それなら、私たちも一緒にいるよ」菜摘が言った。
真百合は私たちの前で被害者へメッセージを送った。手が震えて見えるのが痛々しい。返信が来るまでの十数分が何時間にも感じられた。
私たちもそれぞれがSNSを閲覧する。
やがて、真百合のスマホに着信音と画面が光った。
「あなたのことは忘れない。
でも会って話がしたい」
真百合は画面を暫く眺め、嗚咽が始まった。
その姿に私は胸が締め付けられる思いだ。
きっと真百合は自分の過去を受け入れ、前に進む覚悟を決めたのだと思う。これからの道のりは険しいかもしれないが、彼女は一歩ずつ進んでいくのだろう。