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駅近で、おねえさん探し

昔、勤務した会社では
長期休暇は子会社への手伝いに行かされた
GWなどは、添乗員として働いた

新卒上がりの若い子は駆り出され
簡単な講習を受けて、ツアーに出た

もれなく、わたしにも任務があり
バスツアーで知らない土地へ行く
失敗だらけで、泣いて帰った日があれば
出航するフェリーを停めるのに
渋滞するバスから走り、盛大に下着を見せて転んだ

こんな不出来なわたしにも
ツアー明けのお客様から礼状が届いた
数だけは、誰にも負けなかった

わたしは、他のツアー客にもウケが良く
「これJTBのお客様じゃん」ってのも含まれた

そろそろ沖縄が梅雨入りだとニュースがある頃
わたしが利用する駅で
他のツアーにいたお客様と遭遇した

「お姉さん!」
誰かと思えば、他社のお客様だった
奇遇ですね、なんて挨拶をし
互いの近況を話していたのは、まだ良かった

次第に、駅近の店や歩道でも
先日会った人と違うお客様がいて
「お姉さん」と声をかけられる度に、お愛想した

どえらい、他社旅行会社の利用者と遭遇する
偶然はこんなにあるものかと疑うも
たしかに、わたしは観光地で
アイドル気取り、お手振りをしたりと愛嬌が良い

人間嫌いのくせに、瞬発的に人見知りが解除する

人数にしたら、自分が思ったより多かったのだろう
勝手に納得していた

そして、休日にも駅の近くで
他社のお客様と会った
「こんな偶然はおかしい」

「すみません。結構、お客様に会うんですが
なんで、ここをご存知なんですか」
素直に聞いてみると
インターネットで情報共有しているのを知った

知らぬ間に、自分がネットで話題になり
上野のパンダみたく、わたしを見に来る人がいて
それはそれで、奇特な人いるもんだと
梅雨明けするまで続いた