わたしの芸術、忘れたくない
先日、タイトルやクリエイター名を出さず
記事にした作品がある
「だって、人間じゃん」
強烈に惹きつける、わたしの芸術
作品を汚したくない気持ちで、作品名を伏せた
それは、作者の意向を無視する無礼に当るからだ
「そういうもんよ」「わたしもだった」
会社の同期が自死し、葬儀を済ませた晩
“刑務所部屋”と呼ばれる、簡素な部屋へ
西くんと帰ってきた
わたしは同期が「負けた」と思った
この気持ちは最初に訃報を聞いた時から変わらない
同期は生前、帰宅できない状況にあり
別の同期と会社まで、深夜、様子を見に行った
「このままじゃマズイ」
翌週、同期は他界した
西くんは、きっとどこかで泣いたかもしれない
わたしは泣かずに一点を見ていた
混在する怒りしかなかった
通夜の日、同期の上司がヤフオクを見ていた時
もっと、もっと、もっと、強く言えば良かった
「コイツが同期を殺したんだ」
何がきっかけだったか、惰性だったかもしれない
西くんを受け入れ、西くんに受け入れたこと
いつものような会話がないのは
こんなときに不謹慎だと後ろ暗さがあったからで
不条理を埋めたい気持ちは、本当だった
持って行き場のない怒りと辛さ、そして虚無感
作品を通して
いつまでも同期を忘れない自分が居ることに気づく