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『天外者』

2回目の『天外者』を観た。

オープニング。

追いつけ追い越せで逃げる春馬くんと翔平くん。生き生きとした表情。追いかける群衆。森永優希くんが覗く万華鏡の光彩の動き。ぶつかって落ちる万華鏡の音。疾走感ある音楽。跳びあがる春馬くんと翔平くん。画面静止して浮かび上がる紫舟さんの書いた『天外者』文字。

ワクワクと期待に溢れる。広域で撮られた港の風景もよい。かつて『ラ・ラ・ランド』のオープニングを観たときのようなワクワク感を覚えた。すごくうまくできている。このオープニングはいい!とてもいい。オープニング大賞というものがあるのなら、あげたいくらいだった。

この映画で、私は、春馬くんのむき出しの”生(せい)”を見た気がした。特に、大阪商法会議所の初代会頭として五代が商人たちに結束を訴えるシーンでは、春馬くんは持っているすべての”生(せい)”をさらけ出したのではないか。あのシーンを後日観た春馬くんが感極まって涙を流していた、と田中監督が話していたけど、春馬くんの”生(せい)”の熱量を受けて、私も涙が溢れてきた。大竹しのぶさんが、のちに「春馬は生き切ったんだ」とコメントなさっていたが、この映画を観て、春馬くん、そうだね、生き切ったんだねと思った。

そのむき出しの”生(せい)”と対極の秘めた”優しさ”も見た。遊女はるに語り掛けるシーンと、妻豊子と手を取り合って墨絵を描くシーン。声のトーン、大きさ、表情。ささやくように、熱い瞳で。

そして、それを受ける女優陣が、この上なく輝いている。遊女はる役の森川葵さん。妻豊子役の蓮佛美沙子さん。またしても大竹しのぶさんの言葉になるが、2015年の舞台『地獄のオルフェウス』で春馬くんと共演した際の取材で、「舞台の終わりに近づくにつれ、女性陣の肌ツヤがよくなるって噂。ヴァル(春馬くん)の魅力に当てられて。秘かにヴァル艶って言ってた」と言っていたが、森川さんも蓮佛さんも、こりゃ五代艶だな。

そして、最後のハットをかぶった春馬くんが、妻豊子に微笑むシーン。なんと美しい微笑み。これが、春馬くんのこの映画での最後のシーン。微笑みが最後でよかった。

それにしても、あ~、すごい。ほんとに、すごい役者だ。どんだけ引き出し持ってるの!?いや、引き出しから出したんじゃないんだな。その場のそのすべての状況から受ける感性で、出てくる表情、演技、情熱なんだと思う。

今まで数々の春馬くんの作品を観たが、『天外者』には、まだ観たことのない春馬くんがいっぱいいた。

観終わった後に、また観たくなった。むき出しの”生(せい)”と、熱く秘めた”優しさ”に、また逢いたい。

きっと観るたびに、また新しい春馬くんを発見する。

ありがとう、春馬くん。ありがとう、田中監督。ありがとう、共演者の皆さん。ありがとう、『天外者』。



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