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伊丹十三の映画が観られる‼︎(その9)〜誰もが楽しめる「スーパーの女」

日本映画専門チャンネルの伊丹十三劇場、5月13日の放送は9番目の作品「スーパーの女」(1996年)である。(なお、6月10日夜8時からは、全作品放送)

ウィキペディアによると、伊丹十三のデビュー作「お葬式」の配給収入は12億円、次作「タンポポ」は6億円にとどまったが、「マルサの女」は12.5億円で第8位。1987年の配収トップは「トップガン」で39億円だった。「マルサの女2」13億円、「あげまん」10億円、「ミンボーの女」15.5億円で10位とコンスタントに集客してきた。

しかし、「大病人」が7億円、「静かな生活」は1.5億円となる。映画の性格からすると、仕方がないのだろう。両作とも良い映画なのだが。

そこで、起死回生をはかったのが「スーパーの女」で、15億円9位と、ヒットメーカーとしての健在ぶりを示した。

「スーパーの女」、文句なく面白い。私は見始めて10分くらい経ったところで、これは妻と一緒に見ないとと思い途中で見るのを止め、改めて二人で見たほどである。

NHK朝ドラの再放送「本日も晴天なり」、そして「あまちゃん」、さらに一連の伊丹作品を観ているので、常に宮本信子の芝居を楽しんでいる。今さらだが、本当に素晴らしい女優である。

伊丹十三シリーズ前2作では脇に回っているが、今回はスーパーマーケットの救世主としての主演女優。スーパー「正直屋」を経営するのは、名コンビの津川雅彦。「本日も晴天なり」の夫婦役も良かった。

競合相手のスーパー「安売り大魔王」の社長に伊東四郎。これが憎たらしくって、なぜか河村市長と重なるのは私だけだろうか。

スーパー経営の小ネタがふんだんに入っている。肉売り場の照明、客の買い方を見て店の良し悪しを判断する、etc。私は、スーパーが好きで、海外旅行しても現地のスーパーを必ず視察する。そんな私にとっては、大好物のネタが満載である。

脇役も、いつもの通り豪華な布陣。伊集院光が、やけに太っていた。個人的に嬉しいのは原日出子。スーパーの従業員の役で登場する。前述の「本日は晴天なり」(1981−82年放送)ではヒロイン役で、津川・宮本夫婦の娘役。15年の時を経て、この3人が共演している。

掛値無く、最高に楽しい「スーパーの女」。伊丹十三が「ヒット作ならいつでも作れるよ」と世に出した作品のように思える。

ただ、こんなことも感じる。「静かな生活」という新しい世界を切り開き、再びヒット作を世に出した伊丹十三。この先、彼はどのような映画を作るのだろうか、作りたいのだろうか、作れるのだろうか。

彼の最期が近づいていることを知るだけに、どうしても考えてしまう



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