著…桜田千尋『満月珈琲店メニューブック 桜田千尋イラスト集』
こんばんは。
「こんなお店があったら素敵なのになぁ…」と理想の飲食店を思い描いたことがある方におすすめの本をご紹介します。
この本には、満月の夜にだけオープンするという不思議な珈琲店が描かれています。
ドリンクもフードもデザートも、空にまつわる幻想的なメニューばかり。
たとえば「流れ星のタルト」「虹のプレッツェル」「月光と金星のシャンパンフロート」「蟹座のチーズフォンデュ」…。
どのメニューもため息が出るほど色使いやタッチが美しく、ツヤツヤ、キラキラしていて、とっても美味しそう…。
けれど、食べたり飲んだりしたら、この美しいものが無くなってしまうわけですから、勿体なくてなかなか食べられないし飲めないかもしれません。
わたしが特にうっとりしたのは、「空色ソーダ」シリーズ。
まるで、その時々で表情の変わりゆく空の一番美しい一瞬を切り取ってそのままグラスに注いだかのよう。
中でも「青空」は、まるで夏の綺麗な思い出だけを閉じ込めたかのような爽やかさ!
こんな綺麗なものを飲んだら、つい泣けてきてしまいそう…。
しかもこの満月珈琲店は、お客さんから注文を受けることはしないそうです。
マスターと店員さんがお客さんにぴったりなメニューを出しておもてなししてくれるのだそう。
それってとても贅沢ですよね。
世の中には色んな物が溢れていて、誰もがその沢山の物の中から「選ぶ」ことに慣れきっているけれど、自分が選んだ物が本当に自分の求めている物なのかどうかは分かりません。
「お腹も喉も満たされているけれど、心は飢えているし渇いている」という方もいるのではないでしょうか?
そんな中、誰かが心を込めて、自分のためだけに素敵な食べ物や飲み物を選んでくれて、それをいただくことが出来る…というのは、なんて素敵なひとときなのでしょうか。
「もしわたしが満月珈琲店に行けたら、何を出してもらえるかな? もしかしたらこれかな?」と、それぞれのメニューの味や温もり、そしてマスターや店員さんとの会話を想像しながらこのイラスト集を眺めるのがおすすめです。