河口湖リトリート: 都心から90分のキャンプ+森林浴+マインドフルネス
■ 都心から90分の河口湖で『野生を取り戻す』
自然豊かな場所が都心からこんな近くにあったなんて。河口湖を訪れてみると、そんな風に思うかもしれません。東京駅または新宿駅から高速バス一本でいける抜群のアクセス。河口湖は、まさに都市生活者が手軽に自然を満喫できる穴場なのです。
到着すれば富士山を間近に感じつつ、澄んだ空気、湖畔の風景、温泉、地元の食材などを存分に愉しむことができます。
山梨といっても甲府のような盆地とは違い、夏に盆地の地形が熱をため込むことなく、富士山麓の比較的標高が高い山岳地帯であることから、夏でも涼しさを感じることができるでしょう。
「野生を取り戻す」とは、「本来の自分を取り戻す」ともいえます。テクノロジーの発達とともに、我々はいろいろなものを生産して消費してきました。しかし、はたして私たちのQOL (クオリティー・オブ・ライフ)は向上したのでしょうか。
2022年8月、私は「人と自然が調和できる社会をデザインしていく」ことを目的にガイア・ユナイテッドという会社を立ち上げました。設立当初から、ウェルネスあるいはウェルビーイングもテーマの一つで、ウェルネステックなどテクノロジーを絡ませるにはどうしたら良いか、などと思案しておりました。
日本は世界一の長寿国と呼ばれている一方で、寝たきり人口はスウェーデンの約10倍と、世界でも有数の寝たきり大国でもあります。また、先進国でガンが増えているのは日本だけ。健康食品、人間ドッグ、薬剤、健康グッズが巷に溢れているのにも関わらず。
こういった状況を目の当たりにした時に、「我々はいろいろ余計なことをしすぎているのではないか。」と思うようになりました。
健康は万人のもの。誰もがお金をかけずに追求できなければならない。自然こそが最大の資源であり資産である。そのような考えに辿り着いた時に、河口湖リトリートの方向性が定まってきました。
地球の恵みを存分に活かしていく。地球を意味するガイアから名付けたガイア・ユナイテッドにもふさわしい内容です。
古来から日本では「野に伏し山に伏す」山伏の風習があります。富士山も元はといえば山岳信仰/富士山信仰の中心地です。リトリートを日本語訳すると「お籠り」という意味合いになります。自然界を畏怖し、大自然の中でお籠りしながら自己鍛錬していく山伏あるいは修験道もリトリートと言えるでしょう。
何か過剰に造作するでもなく。「変える」のではなく「還る」。自然に還ることで、本来の自分を取り戻していく。それが河口湖リトリートのテーマです。
■ 河口湖リトリートで大自然にダイブ
河口湖リトリートのベースは、富士山北方の麓にある約1万平方メートルにおよぶ森林で、forentが「燎 (KAGARIBI) キャンプサイト」として開拓している場所です。
この場所は、元々民間企業が所有する休耕地で、2021年からforentがキャンプサイトとして開拓を始めました。
周辺には、野外音楽堂の河口湖ステラシアターをはじめ、大芝生広場やアスレチックがある河口湖総合公園のほか、お洒落なレストランやコテージ型の宿泊施設が立ち並びます。何もない自然にただ放り込まれるわけでもなく、適度に日常生活がクロスオーバーするバランスのとれた立地です。
とはいえ富士山の麓に位置する場所。深い自然はすぐそばにあります。
森林に入れば、さんさんと木漏れ日が差し、そよ風に揺れる木の葉の音、鳥の囀り、土の匂い、満点の星空など、大自然を五感で感じることができます。
forentは、塚崎浩平さんが筑波大学で学生だった2018年に立ち上げた会社です。キャンプ版Airbnbの『ExCAMP』をはじめ、休耕地をキャンプ場として再生していく事業等を手がけていらっしゃいます。リベラルアーツとサイエンスの両方を兼ね備え、自然の真っ只中で起業していく、その胆力とアントレプレナーシップに惹かれて、ガイア・ユナイテッドのChief Nature Officer就任をお願いしました。
河口湖リトリートは、塚崎さんがいなければ実現しませんでした。自然の中でリトリートする構想を描いている時に、どうしても必要な2つの要素がありました。それは、「大自然の中にある場所」と「自然の専門家」です。
場所としては都心からの移動のしやすさを考慮して山梨県に着目していました。リモートワークが定着する中で山梨県に移住する人が増え、甲府駅には高層マンションも建ち、リニアモーターカーが開通すれば、その重要性はさらに増すでしょう。
塚崎さんは河口湖に移住し、都心部との二拠点生活をおくっています。まさに山梨県ピンポイントであり、河口湖に生活の拠点を移して、現地に地場を築いていることも重要な要素でした。
そして、ガイア・ユナイテッドが「人と自然が調和できる社会をデザインしていく」ことを目的としていることから、創業当初からChief Nature Officerというポジションを置くことを念頭に置いていました。
「大自然の中にある場所」と「自然の専門家」、その2つをお持ちだったのが塚崎さんだったのです。
塚崎さんとの出会いが、リトリート構想を強く後押ししました。
■ シンプルながらも本質的で深遠なプログラム
前述のとおり「健康は万人のもの。誰もがお金をかけずに追求できなければならない。自然こそが最大の資源であり資産である。」がガイア・ユナイテッドが考えるウェルネスあるいはウェルビーイングの土台です。
それを実現するには、日常生活の中でも継続して再現できる、自然をそのまま活用できる、それほどお金をかけずにできる、そして科学的根拠にも裏打ちされている、という4項目を満たすことが条件でした。
この4項目を満たせる事柄はないかと思案している時に思いついたのが森林浴です。森林浴であれば都市部の森林がある公園でもできます。
そして何よりも科学的根拠が豊富に揃っていることです。森林浴の研究は、日本が実はリードしており、特に日本医科大学の李 卿(り けい)先生が中心的な役割を担っています。李先生が上梓した「森林浴」は、世界35ヵ国・地域で出版され、「SHINRIN-YOKU」という言葉は、「WAGYU」や「MANGA」のように万国共通となりました。ドイツでは、森林浴に保険適用されるなど治療法として確立されています。
李先生の研究では、森林浴の効果として下記が確認されています。
血圧や心拍数の低下
睡眠の改善
気分の改善
うつ状態の改善
ストレスホルモンの減少
免疫力の向上
考えてみれば、地球全体に森林が広がり酸素を供給することで、人をはじめとする生物が暮らしていけるのです。そういった意味でも森林は根源的な存在であり、森林に還ることで、本来の自分を取り戻していけるとも言えるのではないでしょうか。
ガイア・ユナイテッドでは、モデルケースとして一泊二日の「キャンプ+森林浴+マインドフルネス」のメニューを揃えました。それはシンプルながらも、人としての根源的な生命力を呼び覚ます内容に仕上がっています。
■ 酸素あふれる森林で、呼吸を整える
河口湖リトリートの「森林ヨガ」は呼吸法に主眼を置いています。呼吸が生命活動の基礎だからです。ヨガの所作は必ず呼吸とセットです。それほどまでに呼吸は根本的な要素なのです。
私の呼吸法との出会いは、小学校高学年か中学時代に母がなんとなしに買ってくれた丹田呼吸法の本でした。数年後、祖父からもらった般若心経に関する本で空性と出会うことになりました。
高校時代から20代にかけて古今東西のエソテリックな世界に深くわけ入っていくことになります。欧米で生活していたことや、小学校高学年から高校卒業までをローマ・カトリック系の学校に通っていたこともあり、ユダヤ・キリスト教を基点に学び始め、カバラやフリーメーソンリーに辿り着き、東方の伝承については易をはじめ、原始仏教やチベット仏教などを学んでいきました。
易がキリスト教の宣教師を通してヨーロッパに伝えられ、ライプニッツが陰陽からデジタルを着想したことを知った時は興奮したものです。
そして、チベット仏教の最高奥義「ゾクチェン」と遭遇することになります。ゾクチェンは、「あるがままの境地」ともいわれ、いわば我々には悟りの境地が内在し、何かを変えて悟りにいたるというより、悟りの境地へ還っていくともいえます。
河口湖リトリートで実践するマインドフルネスは、原始仏教やチベット仏教にルーツを遡る本格的な呼吸法の基礎を、初見の方でも実践できる内容となっています。
新鮮な酸素であふれる森林は、呼吸法を実践するのにうってつけの場所です。生命活動の基礎である呼吸を整えることは、健康の基礎を整えるといっても過言ではないでしょう。
都心に戻ったあとも、森林のある公園を散策し、河口湖リトリートで学んだ呼吸法を実践し続けることで、日々の活力源にすることができます。都内での森林ウォークとマインドフルネス・ワークショップも開催する予定です。
焚き火を囲んでチームビルディング
テントや焚き火など、キャンプサイトで必要なことはforentの専門スタッフがサポートしてくれるので、初心者でも安心です。延べ1万平方メートルの敷地で本格的なキャンプと自然体験を満喫することができます。テントサウナも完備しているので、サウナ好きは必見です。
大型のグランピングテントには最大8人が寝泊まり可能。寝食を共にしながら、森林での時間の移り変わりを五感で感じることができます。キャンプサイトを中心に、森林浴を楽しんだり、近隣の河口湖総合公園の芝生に寝転がったり、温泉へ足をのばして汗を流すのもよし。
また、コテージ型の宿泊施設も周辺に点在しているので、季節やニーズに応じて、これらの施設で寝泊まりしながら、アクティビティーのみをキャンプサイトで実施する方法もあります。
食材もforentの専門スタッフが選りすぐった地元の特産を中心にピックアップ。甲州牛やワイン、果物など、山梨には様々な特産品があります。地元猟師から仕入れたジビエが並ぶことも。キャンプサイトに常設された調理器具を使って料理が可能です。自然の中での食事は、自然の恵みを思い出させてくれます。
焚き火を囲んで同じ釜の飯を食べることで、仕事仲間とも普段は話せないことを開放的な空間でざっくばらんに話し合ったり、リラックスした環境で思わぬアイディアが生まれたり、オフィスとは一味も二味も違った交流をすることができることでしょう。
焚き火のパチパチ音と火の明かりは、人類の文明前夜の記憶を呼び覚ますような、どこか懐かしい感覚を喚起します。
今、人類に必要なのはコスモロジー
ここ数年、マインドフルネスという言葉を耳にするようになりました。健康やウェルネスという文脈で語られることが少なくありませんが、ルーツを辿ると原始仏教やチベット仏教に行き着くのです。
それは単なる健康のテクニックではなく、かといって教義でもありません。それは自然界の法則であり、コスモロジー(宇宙観)なのです。
エコロジーやSDGsは、どこか人から分断した自然を眺めているように思えます。自然基点というより、利権が先行してしまう恐れすらあるのではないでしょうか。
テクノロジーは日進月歩でめまぐるしく発展し、インターネット上には無数のコンテンツがアップロードされ続け、人々の消費はとどまることを知りません。自然も、刹那的なレジャーや消費という文脈で捉えられがちです。そこには、なぜかコスモロジーが欠落しているようでなりません。
本来、日本の文化は冒頭で挙げた修験道や神道など、コスモロジーと暮らしが分断することなく、シームレスに繋がっていました。その中から、自ずと「もったいない精神」が生まれたり、江戸の循環型社会が出来上がっていったのではと考えられます。それは礼儀作法や日々の所作にも取り入れられました。「いただきます」という言葉も「命をいただく」という自然界への畏怖の念が込められているのです。現代人は、ともすればスーパーに陳列された加工肉を消費するだけで、命や自然の存在を忘れがちです。
自然と暮らしを統合していく一助になれたなら。河口湖リトリートには、そんな願いも込められています。
河口湖リトリートのマインドフルネスは「ウェルネス+α」です。この「+α」の土台となるのがコスモロジーで、ビジネスパーソンやプロフェッショナルにとって役立つ次の要素が盛り込まれています。これらは『野生を取り戻す』ための要素と言い換えてもよいでしょう。
クリエイティビティー: 大自然と一体となることで無尽蔵の創造力を獲得する。
セレンディピティー: 刹那的で表層的な消費や事象からはなれて、自然界の無限の力と繋がることで、思いがけない良き偶然に出会う。
フロー体験: 自然界のリズムである「1/fゆらぎ」と共鳴して、仕事や作業、創作活動に没頭。
レジリエンス: しなやかで強靭な心身を養うことで、ちょっとのことでは折れない心、ダメージから回復する力を手に入れる。