腰椎椎間板ヘルニアガイドラインからみるヘルニアの実態
腰椎椎間板ヘルニアは一般に広く知られた病名で、また多くの方が診断を受けている。
しかし実際に腰椎椎間板ヘルニアと断言できる方は一握りだ。
ここでは、「2011年の腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン」をもとにヘルニアの真実について解説する。
ヘルニアの診断基準
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会提唱の診断基準によると次のように定義される。
1.腰、下肢痛を有する(主に片側ないし片優位)
2.安静時にも症状を有する
3.SLRテスト70度以下陽性
4.MRIで椎間板の突出を認め、脊柱管狭窄症を合併していない
5.症状と画像診断が一致する
ヘルニアになりやすい人とは?
男女比では男性2~3:女性1と男性に多い
好発年齢は20~40代
好発部位はL4/5、L5/S1である
上記から、「青壮年の男性」に多いと言える。
中高年では、ヘルニア所見に脊柱管狭窄症は併発したりとヘルニアの断定が難しい。
ヘルニア発生に影響を及ぼすこと
男性のドライバー、金属・機械労働者はホワイトカラーに比べリスクが3倍と報告がある。
ただし、これを否定する論文もあり詳細は明確ではない。
現時点で明確に「これを行うとヘルニアになりやすい」と言えることはなさそうだ
タバコは20%ヘルニアのリスクが上がるという報告がある。
ここでも喫煙のリスクは指摘される。
遺伝について、タイプⅨ、ⅪコラーゲンやCILP、ビタミンD受容体の遺伝子多様性の関与が指摘されている。
スポーツとヘルニアの関係を研究した論文では、競技におけるヘルニアリスクの上昇または抑制について規則性は見つからなかった。
ヘルニアは退縮(凹む)するか?
ヘルニアのサイズが大きくMRIでリング状に造影されるものは高率で退縮し、その期間は明確ではないが2~3ヵ月で退縮するものも多い。
レントゲンはヘルニア診断に有効か?
レントゲンの椎間板高とヘルニアに相関関係はない
レントゲンでヘルニアの抽出は不可能である
他疾患の除外の意味で撮影は意味を持つ
レントゲンで椎間板が狭くなっているだけで、「ヘルニア」と診断する医師もいるようですが、レントゲンにヘルニアの診断意義はないと定義されています。
MRIでの診断
MRIは腰椎椎間板ヘルニアの診断に最も優れた検査法である
しかし、無症候性のヘルニアに注意する必要がある
30%前後に無症候のヘルニアを認めたとする論文が複数ある
無症候性のヘルニアとは、MRIでヘルニアの存在があるが自覚症状がなく健康な人を指す。
上記のように、約3割の人に画像上の異常を認めるため画像と所見が一致しているかを確認する必要がある。
治療についての記述も、この診断ガイドライン上に記載はあるが、ここで紹介することで誤解し誤った行動をとってしまう事を避けるため割愛したいと思います。
特にヘルニアと言われて悩んでいる方は、ここの記載内容と照らし合わせ本当にヘルニアによる症状か?再考いただき、疑わしい場合はセカンドオピニオンを求めることも良いでしょう。
文章
株式会社本沢メディカル
本沢整骨院
本沢博文
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