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2.YOUR MIND(유어마인드)


ホンデイック駅(弘大入口駅:홍대입구역)から歩いて20分超歩いた先にある、延喜洞(ヨニドン:연희동)は、にぎやかな繁華街から離れた場所にあり、突如違う街に迷い込んだような、そこだけ違う雰囲気があります。
そこを歩いていると見えてくる、大きな庭がある一軒家の2階に「YOUR MIND」はあります。
2010年にオープンし、2017年に現在のヨニドンに移転をしました。

○独立出版の空間
YOUR MINDは、もともと店主のイロ(이로)さんと妻のモモミ(모모미)さんがZINEを作っていたけれど、それらの作った出版物を売る場所が整っていなかったことから、このYOUR MINDの構想はスタートしました。
最初はオンライン書店としてスタートしたのですが、実店舗を持ったきっかけになったのが2009年に主催した「UNLIMITED EDITION」というイベントで、そのイベントの大盛況ぶりが後押しになったそうです。

現在も続いており2020年の今年はコロナウイルスの影響により、オンラインで開催されました。

○様々な店が一つに集まった空間、そして空間づくり
今YOUR MINDが居住する場所は、お互い知り合いでもない店たちが集まった一軒家の2階に位置しています。店の種類も、カフェから、ジュエリーのお店、植物のお店等々様々です。

韓国でも独特な店の形態は、訪れる人の気持ちを少し特別な感覚にしてくれます。

そして書店の中の空間に入ってもその感覚は維持されたままです。

ここに移転する前の店舗と現在の店舗の大きな違いは、この店内の空間のデザインです。以前の店舗はそのようなデザインはなく、基盤となる壁の本棚だけ置いて、そこから少しずつ追加しながら出来ていった空間だったそうです。この場所に移転する期にプロと一緒に空間を作っていったそうです。

入ってきてすぐ見える本棚に囲まれた、この窓は印象的。

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(会計が終わったあとに、ふと上をみるとGirls Cant do anythingというステッカー)
といったように小さな”気づき“が散りばめてあるのも魅力。

○独立出版物について
複数の独立書店とよばれる小さな書店を回りながら思うのが、独立出版物とそうではない本との差異の境界が曖昧であるということです。

思い返せば、ここは独立出版が中心の店、ここは混ざっている店、逆にここは出版社からの本が多い店。と振り返ればグラデーションがあることに気づきますが、それでも、時々これはどちらの形態だろう?と思う時がしばしばあります。

その理由をいくつか調べて推察できたのが以下の通り。
韓国は日本に比べて印刷費が安いため、自費でもより意匠を凝らしたものや、分厚い本ができるということ。出版社ではないところから出ている独立出版物を、日本ではZINEということが多いですが、韓国ではこのような理由から冊子状のZINEより、もう本のような形態で作ることが多いそうです。

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https://blog.naver.com/now_afterbooks/222089288736
YOUR MINDでは取り扱いがあるかは確かめられなかったのですが(店頭にはなかったと思う)この本は、私は独立出版物か、商業出版物かわからずに後ろのクレジットを確認しました。実際、私は、独立出版物を中心に取り扱う前情報を知らずに、最初来店しましたが、ラインナップを見ると「“ふつうの書店”とは違ういろんな形の本が並んでいるな」という印象は受けるものの、独立出版物を主に取り扱っているということに気づかないほどでした。

一体どこが境界線なのか。もちろん、会社である出版社から専門的にだすのか、そうでないのかという線を引いて区別してもいいのですが、私はその境界に対してこれからも探し続けたいと思います。

○一目惚れした本
YOUR MINDで一目惚れをした本の1つに「오늘 하늘도 수고했어요.」という本(?)があります。色見本のような形態なのですが、まさに「空の色見本」という言葉が一番似合うような気がします。

この本(?)のように「本」とはなにかということを考えさせるような、あの四角の形の範疇を超えた物が、ラインナップに並んでいるのが魅力の一つです。
それを見ていて思い出したのがK-POPのCDパッケージです。K-POPを好きになってCDショップを廻っていると、K-POPのCDが置いてある棚は遠目からひと目で判別することができます。それはいわゆる「CD」の形にこだわらない形の「CD」で、分厚いのもあれば、まるで本のような形をしたもの、BOXのようなもの、金属でできた三角形のもあり棚から思い思いにはみ出していました。
YOUR MINDに並ぶ多様な「本」を見ていて、これはある分野の特別な現象ではなく韓国社会の「空気」なのではないかと思いました。この「創造力」とそれを形にしてしまう「フットワークの軽さ」によるものなのではないかと思いました。

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