![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/104529731/rectangle_large_type_2_450f755843e5fd8668c137124100f64b.png?width=1200)
社内翻訳者のメリット・デメリット
今日は私の生業である社内翻訳者のメリット、デメリットをまとめてみました。
あくまで個人の意見であり、サンプル数=1です。
全ての社内翻訳者に当てはまるわけではないことは、ご了承ください。
メリット
安定した収入
一企業の社員として働いているため、毎月一定の収入が入ってきます。これは社内翻訳者の最大のメリットだと思っています。福利厚生など、給与以外の利点もあります。収入を心配せずに働けて、仕事にもプラスに作用すると思っています。
必ずレビュー者がいる
私が翻訳した文書は、必ず他の社員がレビューします。なので、翻訳のクオリティーに関して、私だけが全ての責任を負うということはありません。
注:レビュー者がいないという社内翻訳者の話を聞いたことがあるので、この点は業種や企業ごとにばらつきがありそうです。
自分が働いてる業界=専門分野になる
産業翻訳者は、専門分野を持っていたほうが断然有利だと思います。
社内翻訳者の場合、働きながら自分のいる業界の知識や経験を積むことができ、効率よく専門分野を極められます。
デメリット
どれだけ翻訳に時間を費やしても、収入は一定
これは、メリットで挙げた「安定した収入」の裏返しです。
1カ月1ページ翻訳しようが、100ページ翻訳しようが、会社員として働いている限り、収入は一定です。
私の場合、1カ月あたりの翻訳量は定時で終われるほどの水準でほぼ安定しており、残業代も発生しません。
レビュー者は万能ではない
私が翻訳した資料をレビューする同僚たちは、翻訳のプロでも、語学のプロでもありません。
そのため、日本語や英語として破綻しているような文章を平気で書いてくる人もいます。
そんな時は、お客様に提供するお吸い物の味の最終確認を、和食を食べ慣れていないフランス料理のシェフにお願いしているような、なんとも心もとない気分になることもあります。
誤字脱字ならともかく、「日本語の文章として成り立っていない」ことをレビュー者に指摘するとなると、かなり気を使います。
PCをカスタマイズできない
PCは会社から支給されたものを使用していますが、IT周りのセキュリティーが非常に厳しいため、一切カスタマイズはできません。
よって、フリーランス翻訳者がよく使っているようなアプリケーションをダウンロードして使うことはできません。
PC環境に制約のある中での翻訳作業を強いられます。
ニュートラル
翻訳以外の業務も発生する
私の場合、現職も前職も、社内翻訳者として採用されました。
ところが、社歴が長くなるにつれ、海外からの出張者のアテンドや、事務作業など、翻訳以外の業務もこなすようになりました。感覚としては、2割程度がそういった業務です。
正直なところ、「聞いていた話とちょっと違うなぁ…」と、もやもやした時期もありました。
でも、翻訳以外の業務が、最終的には翻訳に役立っていると気づいてからは、一切不満はなくなりました。
これは、人によってメリットにもデメリットにもなりうる要素だと思ったので、「ニュートラル」としました。
メリット、デメリットは表裏一体
ここまで読んでお気づきのかたもいらっしゃるかもしれません。
そう、メリットは裏を返せばデメリットにもなるし、逆もしかりなのです。
じゃあ、社内翻訳とフリーランスのどっちがいいの?と聞かれたら、今のところ、自分には社内翻訳という働き方が向いていると答えます。
重要なのは、自分の優先順位を明確にし、納得のいく働き方を選ぶことだと思っています。
収入は不安定でもいいから、好きな時間に働きたい
自分の実力が市場でどれだけ通用するか試したい
職場の人間関係はわずらわしい
翻訳以外の業務は必要最低限にとどめたい
のであれば、フリーランスの道もありだと思います。
逆に、
安定した収入を得たい
個人の裁量が大きくなくても気にならない
職場の人間関係は多少あったほうがいい
翻訳以外の業務にも興味がある(抵抗がない)
のであれば、社内翻訳も悪くないと思います。