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残念な翻訳リクエスト5選

社内翻訳者として十数年働いていて、これまでにいただいた翻訳依頼のなかで、「ちょ、それは…」と思ったものを5つ選んでみました。

できたところから提出して

これは私が最も苦手とするタイプの依頼です。

というのも、ひとまず文章全体を日本語に訳してから、細かい微調整をしていく、というのが私の翻訳スタイルだから。第1段落を訳し終わったら第2段落へ、という進め方はしないのです。

それに、最後まで訳し終わって初めて、「この単語は別の訳語のほうがいい」とか、「同じ接続詞が頻出しているから、別の言葉に変えよう」といったことに気づくんです。

メール文章を書くときだって、「できたところから送信する」なんて、ありませんよね?

なぜこういう依頼をしてくるのか、理由はわかっているのですが(期限が迫っていて時間がないケースがほとんど)、できれば避けたいリクエストです。

ざっくりでいいから訳して

フリーランスの方はこういう依頼はまず受けないのではないかと思うのですが、社内翻訳ではたまにあります。

大意をつかんでおきたい、でもページ数が多くて原文で読むのは面倒、できれば日本語で読みたい、というのが依頼主の意図。

しかしこの「ざっくり訳す」という言い方がどうも苦手なんです。おそらく依頼主は私に気を遣って、「あんまり時間を掛けなくていいよ、適当でいいから」という意味で言っているのだとは思うのですが。

適当になんてできない!と心の中で思っています。

数人しか読まない長文資料

これも残念ながら結構あります。そういうときは、自分の勉強のためと思って割り切って作業します。

「対象読者が少ないのであれば、全訳ではなく、要約でいいのでは?」と提案したこともあるのですが、「このレポートは要約できるような内容ではない」と、よくわからない返答をされたこともありました…。

要約できない文章って何なんですかね?

読んでいて全然面白くない資料

「自分が面白いと思ったものしか訳さない」と明言している大御所翻訳家が何人かいらっしゃいますが、これ、めちゃくちゃ憧れます。

が、私レベルではそんなことを言っていたら仕事になりませんので、頼まれたものはたとえつまらないものであったとしても全力で訳します。

あと、つまらないと感じるのは単に自分の知識不足・理解不足のせいという可能性もあるので、これもまた、勉強と思ってやります。

図表、注釈の多い資料

グラフや表の翻訳の場合、実際に翻訳が必要な部分は少ないので、ラッキーと思う人もいるかもしれないですね。

やたらに長い注釈などは、途中まで辛いのですが、なぜか一定量を超えてくると変なゾーンに入ったりします。これはおそらく、頭を使っているというよりは単純作業に近いからでしょう。さやえんどうの筋を取るとか、もやしのひげ根を取るみたいな。(違うか…)

出版翻訳の場合、書籍の巻末にある参考文献とか、途中に入る異様に長い注釈とか、全部訳しているのだろうなと思うと頭が下がります。


とまあ、いろいろ書きましたが、業界問わず、皆さんもいろんな残念案件に遭遇しているのではないでしょうか。

心中お察しします…。

どんな依頼も勉強になると自分に言い聞かせながら、日々精進。


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