『ポップ中毒者の手記2(その後の約5年分)』 – 日めくり文庫本【3月】
【3月16日】
1998 ジャン=リュック・ゴダール『勝手にしやがれ』についての1ダース
1.『勝手にしやがれ』を観た翌日、女の子はみんなボーダーのシャツを買って、髪をベリー・ショートにしたくなる。男の子はみんな……。
2.『勝手にしやがれ』はジャン=リュック・ゴダールの長編映画第1作で、彼が29歳の時の作品である。
3.ゴダールは1930年12月3日、パリのブルジョワ家庭に生まれた。しかし、10代後半からシネマテークへ毎日のように通い、フランソワ・ドリュフォー達と友達になり、その後アメリカ大陸を放浪する。
4.原案はトリュフォー、技術顧問はクロード・シャブロル——『勝手にしやがれ』はヌーヴェル・ヴァーグの美しい友情から生まれた。
5.『勝手にしやがれ』は映画史を変えた、革命的な映画である。
6.すべて即興演出で作られた。
7.ラウール・クタールの手持ちカメラは、当時の法律を破って、パリの路上へ飛び出した。
8.カットをくじ引きで決めるなど、編集はオキテ破りだった。
9.『勝手にしやがれ』以降の映画は、ゴダールが手に入れた自由を満喫している。
10.『勝手にしやがれ』はゴダールがハリウッド製のフィルム・ノワールを目指しながら、『不思議の国のアリス』のようになってしまった映画だという(本人談)。
11.ヤクザな男ミシェル・ポワカール(ジャン=ポール・ベルモンド)は車を盗む。マルセイユからパリへ行く途中、なりゆきで警官を殺す。パリでミシェルは、アメリカ娘のパトリシア・フランキーニ(ジーン・セバーグ)と恋に落ちる。だが、彼女は彼を裏切って、警察に密告する。ミシェルとパトリシアのハッピー・サッドなラブ・ストーリーは、40年肥たった今でもクールだ。
12.『勝手にしやがれ』は1960年、ジャン・ヴィゴ賞を受賞した。
——川勝正幸『ポップ中毒者の手記2(その後の約5年分)』(河出文庫,2013年)256 – 257ページ
2021 ジャン=リュック・ゴダール『勝手にしやがれ』についてのベイカーズダズン
13.『勝手にしやがれ』は1960年3月16日にフランスで公開された。
/三郎左