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宝石屋が使用する道具:ルーペ編

宝石屋のルーペ:小さな世界に広がる輝き

よく宝石屋の店頭で、鑑定士がルーペを手に、宝石をじっと見つめている姿を目にされたことがありますか?

まるで魔法使いが秘宝を見つめるような、その真剣な眼差しは、宝石の魅力をさらに高めてくれます。

宝石にとってルーペは、隠された美しさを引き出す重要な道具です。肉眼では見えない微細な傷や内包物、カットの繊細な違いなどを明らかにし、宝石の真価を評価するのに役立ちます。

しかし、ルーペは単なる拡大鏡ではありません。ボクたち宝石屋が長年の経験と知識に基づいて、ルーペを通して宝石が語る物語を読み解きます。

その中には、宝石の産地や歴史、そしてそこに込められた人々の想いが宿っているのです。

まぁ、そこまでだいそれた事をしているつもりはありませんが、不思議に思うかも知れません。

今回は、宝石屋のルーペについて、その役割や選び方、使い方について詳しくご紹介していきたいと思います。

ルーペの役割

宝石屋のルーペは、大きく分けて3つの役割があります。

  1. 宝石の品質評価

宝石の透明度、キズ、内包物などの状態を評価するために使用されます。特に、ダイヤモンドの鑑定においては、10倍のルーペが世界基準となっています。

ボクのルーペも同じ10倍のルーペです。

  1. 宝石鑑別

宝石の種類や真偽を判断するために使用されます。例えば、ダイヤモンドとキュービックジルコニアを区別したり、天然石と人工石を判別したりする際に役立ちます。

  1. 宝石の観察

宝石のカットや色合い、模様などをじっくりと観察するために使用されます。熟練の鑑定士は、ルーペを通して宝石の持つ微細なニュアンスを読み解き、その美しさを余すところなく堪能します。

ルーペの選び方

宝石屋のルーペには、様々な種類があります。一般的には、10倍から30倍程度の倍率のものが多く用いられています。

  • 倍率

倍率が高いほど、より微細な部分まで観察することができますが、その分視界が狭くなり、ピント合わせも難しくなります。初めてルーペを使用する場合は、10倍程度のものがおすすめです。

  • レンズの大きさ

レンズが大きいほど、広い範囲を観察することができます。しかし、その分持ち重くなったり、価格が高くなったりします。

  • 照明

LEDライト付きのルーペであれば、暗い場所でも宝石を鮮明に観察することができます。

  • その他

持ち運びに便利な折りたたみ式のものや、両手が自由に使えるヘッドルーペなどもあります。

ルーペの使い方

ルーペの使い方をマスターするには、慣れが必要です。以下に、簡単な使い方は以下で書いてみました。

  1. 適切な照明を確保する

暗い場所では、宝石の内部をしっかりと観察することができません。蛍光灯やLEDライトなど、明るい照明を確保しましょう。

  1. ルーペを正しく持つ

ルーペの持ち方は、人によって様々ですが、一般的には利き手で持ち、レンズを対象物に近づけます。

  1. ピントを合わせる

ルーペをゆっくりと動かし、対象物にピントを合わせます。

  1. 様々な角度から観察する

宝石は、角度によって見え方が異なる場合があります。様々な角度から観察することで、宝石の全体像を把握することができます。

プロの道具をあなどってはいけません

宝石屋のルーペは、宝石の魅力を最大限に引き出すための大切な道具です。適切なルーペを選び、使い方をマスターすることで、宝石の隠された美しさを発見することができます。

ボクのルーペはダイヤモンドを買い付けに行く業者さんに頼んで、ベルギーのアントワープでルーペとピンセットを買ってきてもらいました。

当時の価格ですが、ルーペ・ピンセット共にそれぞれ1万円以上しました。社長が買ってくれましたけどね(^^)

宝石選びの際には、ぜひルーペを手に取って、その輝きをじっくりと味わってみてください。

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