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なぜ、石材を好きになってしまったのか

初めてバルセロナパビリオンに行った時から、あの建築の美しさに魅了されてしまった。それはもう、呪われたと言っても良いくらいに、心が奪われてしまったように思います。

私に建築の知識がまだ無かったころ、建築士の父に連れられ訪れた場所。オニキス・緑色テニアン大理石・トラバーチン…まるでアーティストが描いた最高傑作にすら見える、美しい模様、色。これが、途方もなく長い時間をかけた地球の産物であると知った時から、石材の魅力にもう目を逸らせなくなってしまいました。

今回は、建築石材を扱う石材専門店、関ヶ原石材で感じたことを残しておこうと思います。ようやく行けた…嬉しい。

なぜあの時、感動したのか?

感動ってなにによるんだろう?そんな問いを胸にGalleryに足を踏み入れる。建築石材ならではのサイズ感はさることながら、じっと見つめるからこそ見えてくる壮大な歴史を想起させる模様…途方もない時間の中で形成された石材しか纏えない雰囲気が、そこにはありました。結晶、光の具合で見え隠れする御影石の粒子、そんな細かな美しさが、その雰囲気を形成していて、当時から私の心を揺さぶっていたんだと、実感しました。

思えば、普段仕事や生活をしていて、心が揺さぶられるような体験をすることは珍しいことだなぁと思ったんです。仕事では、主にデジタルサービスを作ることが多いのですが、デジタルサービスは人の暮らしを便利にするけれど、人の心を動かすことの難易度がとてつもなく高いような気がします。一方で、私の場合、石や花に触れる瞬間に、心が揺さぶられることが多いような気がしました。"感動する"ということついて、もっと深く理解してみたい、体験してみたい…そんなことを思う、こんにちです。

どう楽しむか?

石に向き合うことはとても挑戦的で面白いんだろうな…!そんなワクワクが止まらず、石の魅力に向き合う日々。じっくり手にするからこそ見える魅力をもっと味わいたい・見つめる瞬間の、マインドフルネス状態のような感覚を作ってみたい…。今は、石との体験をデザインするために、いろんな実験をしてみています。

石の手触り

おもい・冷たい・化石がいる・結晶・透明・割れる…
実際に触れてみた手触りは、すごく当たり前なものだけど、このリアルさが愛おしい。身の回りを見渡せば、人間の生活に合うように化学の力を借りているものが溢れています。でも自然からできたものだけが纏う雰囲気は形容しがたくて。これからは私が面倒を見るねと言いたくなるような愛らしさすら感じてしまうのです。自然に身を委ねた模様は、やっぱり美しく、感動に値するものでした。ふと、私たちの人生も、こんなふうに身を委ねて力を抜いて生きたとしても、こんな風に美しいんだなと、そう思えた気もしました。