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期待して、裏切られて。
実家に帰ってきた。久しぶりの実家。
楽しい予定があるはずだった。
けれど、わたしは傷つけられる為だけに帰ってきたようだ。
どうして、好きなバイトをしちゃいけないの?
どうして、好きな服を着てはいけないの?
どうして、どうして、どうして。
結局わたしは、母に「この金食い虫が!」と罵られた日から、ずっと変わっていない。
わたしは父と母にとって、ただの金食い虫なのだ。
金、金、金。
お金のことばかり。
「周りはみんな社会人なのに」と言われた。
そんなこと、わたしが一番よくわかっている。
どうして、レールから外れたらこんなにも言われなければならないのか。
わたしだって、思い通りの人生を生きたかった。
けれど、あの日から、何も思い通りにならないのだ。
レールから外れたって、生きていることを認めてほしい。
死にたいわたしも認めてほしい。生きていることを褒めて欲しい。
進学のお金はどうするのかと聞かれた。
意見が二転三転する。
昔はあんなにも大学院進学を応援してくれていたのに、今では金、金、金。
「死ねばいいんでしょ」
と言ったら、「逃げるな」と言われた。
じゃあ、どうやって生きていけばいいのか教えてほしい。
わたしにはもう、帰る家がないのだ。
安心できる家がない。
それは果てしのない絶望なのだ。
どうして、いつも期待しては裏切られるのだろう。
どうして、わたしはいつも期待してしまうのだろう。
両親と会ったその瞬間から、わたしは極度の緊張状態にさらされた。
何を聞かれるのか、何を言われるのか、怖くて怖くてたまらなかった。
そんなのおかしい。
もう、きっと元には戻らない。
両親と楽しく笑い合うなんてのは無理なのだ。
わたしが長い間抱えてきた大きな空虚感はきっともう埋まらない。
やっぱり、どうやって生きていけばいのかわからない。
わたしには明るく生きている未来が全く想像できない。
来年を迎えられる自信がない。
新幹線の中で、思考に更けていた。
入院中の担当看護師さんの言葉を反芻する中で、気持ちが生きる方へと揺らいでいた。
けれどまた死へと揺り戻されてしまった。
もうこの家には帰ってこないほうがいいみたいだ。