
昼休憩の川でコンビニおにぎり
⬛︎読了
『転職ばっかりうまくなる』 ひらいめぐみ
⬛︎概要
20代で転職回数6回だからこそ贈れる、転職エッセイ。フリーライターである今に至るまで
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仕事が辛い時に食べる川でのコンビニおにぎり。
私は無職みたいなもので、仕事中の昼休憩に河川敷に抜け出すことは出来ないし、そもそも前職も川が近くになかった。でも自席でご飯を食べ終えた後に読書するのは好きだった。
私は無職でパーソナルスペースが守られていれば平気。だから、ひらいさんみたいな開放感は味わえないと思っていた。
川にたどり着いた時、あまりにも生い茂る木々が立派で川が見えなかった。川と併走してどうにか河辺まで行ける抜け道を探した。1度と通り過ぎ、戻ってもう一度目を凝らしたときに、緑に阻まれた石畳をようやく見つけた。
石畳の先は、まるでミニチュアだった。自分がこの景色を全部手に入れてる達成感、開放感。ミニチュアでは味わえない風が全身を撫でる。世界中の小鳥が集まったかのようなうるささ。カラフルな家の屋根。全てが空腹のイライラを忘れさせた。
ああ、私ってずっと何かに縛られてたんだ。今、解放されたんだ。心が鎖を解いてゆっくりと大きくなっていく。私が1番空を、川を必要としてたんだ。なのに、空を見ることさえ忘れてた。
ひらいさんのときみたいに周りに人はいないけど、どこからか笑い声が聞こえる。見えない電車の音も聞こえる。
おにぎりがなぜだか美味しい。これはもっと早く知りたかった。いや、早く知ってたら私はずっとここに留まっちゃうから今ぐらいに知れたのがちょうど良かった。現在12月。1時間でも2時間でも、ここにいたい。
リフレッシュしても何も環境は変わらない。何も状況は変わらない。何も境遇は変わらない。それでも、川を見た目から、小鳥の歌声を聞いた耳から、風を撫でる肌から、淀みが剥がれていく解放感は自分を変える。川にたどり着いた達成感は気分を変える。ようやくリフレッシュの本質がわかった気がする。
ひらいさん、教えてくれてありがとう。仕事中、川に立寄る際はぜひ、おにぎりだけでなく暖かい緑茶を持っていってね。