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【読書記録】森永卓郎さんの『書いてはいけない』を読んでみた話

森永卓郎さんの『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』を読んでみた話をします。

話題本ですね。
森永卓郎さんは闘病生活を送られていて、そんな状態でも書かずにいられなかった本……ということで、興味を持って読んでみました。

……が。

これは、読んだ人それぞれが、各々「検証」を意識しなきゃいけない本では? と、思いました。

ジャニーズ事務所問題。
財務省にまつわる問題。
日航機墜落事故に関する問題。
それらに対する森永氏の私見が書かれており、日本経済失墜の原因がここにある! という調子の、センセーショナルな書き方をされた読み物となっています。
ちょっと陰謀論めいた、早急な論理展開もあり、これはぜひ反証が必要な内容ではないか、と思うんですがね。

まず、森永氏はアベノミクスを全面的に肯定されているようにうかがえます。
え~と、金利を下げることが不況時の経済政策として理に適っている、それはわかりますけど。
トリクルダウンが起きないことも既に実証済みだったし、公共事業は昔ながらのものだったし、インバウンド頼みって後進国の政策では?
それに、あの異次元の金融緩和だって、世界が適温経済だと言ってるときに金利を上げず、その後に消費税率を上げちゃったから、ずるずる金利を上げ損ねて今の円暴落を招いたのでは? 素人考えですが。

となるとやっぱり、アベノミクスの検証は、国を挙げてやらなきゃいけないと思うし、財務省の問題も日本航空と自衛隊の問題も、疑惑があるなら徹底的に追究しなきゃいけないと思うんですよ。
本当にそうなのか、いや真実は違うのか、それらを証明するための情報を、関係省庁は黒塗りではなく提示して欲しいし、それを追究するのは国民の知る権利だと思う。

そもそも情報を隠すから、いろんな疑惑が生まれるわけで、それを「陰謀論~」と茶化すのはフェアではなくて、疑惑を論理的に追究していくのは当たり前のことですよね、民主主義国家なら。

ただ、森永氏の主張する「ちゃんとした論文を書いてきた人が言ってることだから正しい」というのは、論理的とは言えないのでは? 証言者の信用性より発言内容の論理性が重要なのでは? 日航機墜落事故の遺族の方の気持ちを考えても、より論理性が増す書き方をすべきです。
そういう意味で、読者にいろんなことを問題提起している本だと思いました。

本に書かれていることを「本当のこと」として、鵜呑みにするのはラクですけど。「本当?」と一度は疑い、事実かどうか、他の研究者たちはどう言っているのかを、調べる癖をつけなきゃいけないですね、本当は。
私も、自分の経済に対する知識の名さを反省し、ただいま『高校生のための経済学入門』を読んでます。
(高校生向けでもなかなか難しいので、中学生向け、いや幼稚園児向けにすべきだったんじゃない? と家族からは推奨されてます。いやでも、幼稚園児が「この積み木かしてあげるから、そのお礼にあなたはなにくれる?」なんて言い出したら嫌だな、そんな世界)

また、日航機墜落事故の件も、そもそも情報開示拒否してるのはおかしいし。
変な後ろ指さされたくなければ、きっちり開示すべきだと思うんですよね。反面、日本がアメリカに頭が上がらないのは、日航機墜落事故の責任をボーイング社にかぶってもらったからというより、その前からずっと永続敗戦状態だからというのはあります。あの事故がなくても、基地の街は占領状態だし、日本政府がアメリカの配下なのは変わらず。(でも日航機の件は気になる。反証すべき)

読みやすい本なので、あっという間に読めてしまうんですが、残ったのは膨大な課題という、まあそういう書籍です。
タイパを求める若い方には、「そんな面倒くさいことやってる暇ねえよ」なのかもしれませんが、急がば回れとも言いますし。

この本の感想って、多分「興味深い」か「陰謀論だ」かの二極に分かれる気がするんですよね。
なのであえて「みんなで検証しよう」を挙げてみました。てか、感想を書かない方は、みなさん検証しようとされてると思う。気になるから。

みんなが政治や経済や人権について考えることが重要で、それですぐに収入に結び付くわけじゃないですけど、国が国民からの搾取しか考えてなかったら、どんなに起業や副業で頑張っても根こそぎ持っていかれてしまうというのを、インボイスで痛感したので。そのくせ、医療福祉公共サービスは削減しようとしている。

この国はそういう国なので、こちらが検証していかないと、本当のことは黒塗りにされていっていしまいます……って、旧東側かよ。
また、学習していきたいと思います。



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ほんのよこみち
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