京都、花もうで(写真・星野佑佳)
記憶に残る桜を
談=星野佑佳
桜のシーズンは束の間と思われがちですが、京都では2月末頃に咲く東寺の河津桜から始まり、3月上旬頃に咲く車折神社の寒緋桜、そして5月の大型連休に見頃を迎える千本ゑんま堂(引接寺)の普賢象桜まで、2カ月にわたってさまざまな品種が咲くので、春の間、どこかしらで桜を見ることができるんです。
私もこの時季は京都のあちこちで桜を撮影しますが、思うように撮れない風景もあります。子供の頃、父の運転する車の中から見た鴨川や高野川沿いの桜吹雪。桜のトンネルを走り抜けたようなあの時の感動をカメラに収めたいと思い、松ヶ崎疎水や川端通の桜並木など、いろいろな場所でチャレンジするのですが、肉眼では美しくても写真に撮るとあまり絵にならない。思い出を超えるのはなかなか難しいことですが、誰かの記憶に残る写真を撮りに、この春も京都の花もうでに出かけたいと思います。
丹後松島の朝桜[京丹後市]
犬ヶ岬から、丹後半島の最北端・経ヶ岬まで、大小の奇岩が浮かぶ丹後松島。「この辺りは桜の名所というわけではないのですが、犬ヶ岬園地内にある丹後松島展望所付近にはソメイヨシノが植えられていて、桜越しに丹後の雄大な自然を望めます。春は山側から日が昇るので、海と山と桜が少しずつ朝焼けに染まり、そのグラデーションの美しさに、早朝に来てよかったと心から思いました」
伏見十石舟と花筏[京都市伏見区]
「桜の時季は大賑わいの宇治川派流沿い。花嵐が吹いたあと、一面の花筏の中を十石舟が進む光景はとても優美です。十石舟に乗らず散策するだけでも楽しいので、私は早朝や人出が落ち着いた夕方に行くのも好きです」
伊根の舟屋と一本桜[与謝郡伊根町]
「舟屋が立ち並ぶ伊根湾の高台に立つ海蔵寺の一本桜。境内から見る桜も迫力がありますが、日没後、舟屋越しに見るライトアップされた姿は格別です」。開花時、対岸の駐車場は混み合うのでご注意を。開花情報が出たらお早めに
*植物の開花・見頃期間などは変更になる場合があります。開門時間など事前にご確認のうえお出かけください
写真・解説=星野佑佳
──この続きは、本誌でお楽しみいただけます。花のいのちは短いけれど、桜散るそのあとにも京都では色とりどりの花が咲き誇ります。陽の光を浴びて春を謳歌する花々。色彩豊かに移ろう京都の春をぜひご覧ください。
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出典:ひととき2024年4月号
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