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「ひととき」の特集紹介

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旅の月刊誌「ひととき」の特集の一部をお読みいただけます。
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2023年8月の記事一覧

[10th anniversary of Mt. Fuji's registration as a World Heritage] SiteScenes of Mt. Fuji Today (Photo by Makoto Hashimuki)

How Japanese people feel about Mt. FujiExplanation by Noritake Kanzaki, folklorist Since antiquity, the Japanese have worshipped mountains, especially those of extraordinary appearance, which they believe are the dwelling places of gods. I

【富士山世界文化遺産登録10周年記念】令和、富士山景(写真・橋向 真)

日本人の富士への思い解説=神崎宣武(民俗学者) 国土の約7割を山地が占める日本には、どの土地にも“姿形のよい山”があります。古来、人々はそうした山容が優れた山に神が宿ると信じ、御山〈ミヤマ、オヤマ〉と呼び、敬ってきました。富士山は、そうした御山を象徴する存在といえるでしょう。  一方で、噴火を繰り返す富士山を畏れ、遠くから「遥拝〈ようはい〉」してきた。周辺に多くの神社を建てたのはそのためです。そして噴火活動が沈静化した平安時代[794年~1185年]後期以降は、修験者の道

義弟が語る司馬遼太郎の実像「学生の私にも分け隔てなく接してくれる人でした」(上村洋行さん)

 両親が亡くなったとき、大学生で自立もできなかった私は、姉(福田みどり)と夫である司馬遼太郎の家に居候することになりました。大きな図体で飯ばっかり食う学生が突然、うちに転がり込んで、嫌な顔をされるかと思いましたが、司馬は、ごく自然に快く受け入れてくれた。今もって感謝の気持ちでいっぱいです。  後年、この記念館で司馬の作品年表を作ったとき、当時、司馬は猛烈な忙しさだったのだと初めて知りました。ちょうど「竜馬がゆく」の終わりのころで、常に新聞小説が2紙、月刊誌が3冊、週刊誌も3

歴史学者・磯田道史とめぐる司馬遼太郎の大阪散歩

 小学生時代から司馬作品の愛読者という歴史学者・磯田道史さんと歩く大阪の旅。その始まりは、緑豊かな寺町めぐりから。 天王寺七坂 大阪城の南、難波宮から天王寺までの上町筋周辺には、約200もの寺社が立ち並ぶ。かつて大坂*を支配した豊臣秀吉は、ここに寺を集め、頑丈な門と分厚い土塀が壁となって連なるようにして、城塞の役割も担わせたのだという。寺と寺の間を通る真言坂、源聖寺坂、口縄坂、愛染坂、清水坂、天神坂、逢坂の通称「天王寺七坂」は、今は散策コースとして人気だ。  司馬は江戸と