レトロなビルのファサードや銭湯の浴場を飾る「タイル」。どこかノスタルジックな趣のあるこの言葉が使われはじめたのは、ちょうど100年前のことでした。折しも、生活の西洋化にともない隆…
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2022年7月の記事一覧
京都――タイルと建築100年の物語【紀行2:さらさ西陣・築地・1928ビル】
和製マジョリカタイル貼りの
銭湯をリノベーション「さらさ西陣」「朝風呂気分ですね」(中村さん)
木の扉を開けてお邪魔したのは、北区紫野にある「さらさ西陣」。木造2階建て、築80年の銭湯・旧藤森温泉をリノベーションし、2000(平成12)年にオープンしたカフェである。建物は国の登録有形文化財になっている。天井の湯気抜きから差し込む日差しの下で、中村さんが大きく伸びをした。
時代を越えて愛される
京都――タイルと建築100年の物語【紀行1:先斗町歌舞練場、京都市京セラ美術館】
先斗町歌舞練場京都が生んだ美術タイル「泰山タイル」の宝庫
明治から昭和時代にかけて活躍した小説家・谷崎潤一郎は随筆『陰翳礼讃』のなかで、タイルを痛烈に腐している。曰く「ケバケバしい」「『風雅』や『花鳥風月』とは全く縁が切れてしまう」などと、散々な言いようである。文豪に楯つく気はないが、京都・鴨川右岸にある先斗町歌舞練場の建物を前にすると、谷崎先生に文句のひとつも言いたくなる。なにしろ目の前の建