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363 ○○にとってはいい日

大谷さん51-51達成の影で

 勝者がいれば敗者がいる。光が輝けば輝くほど影は濃くなる。

 私はこういうとき、どうしてもやられた側に目が向く。この記事で、敵将のスキップ・シューマッカー監督の言葉は、こうだ。

「マーリンズにとってはタフな日になったが、野球界にとっていい日になった」

大谷翔平に敬遠策取らず 歴史的50号献上もマーリンズの監督に悔いなし「勝負にいった投手を誇りに思う」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

 選手としてはカージナルスに長くいて2011年にはワールドシリーズで優勝している。ドジャースにいたこともある。2023年からマーリンズの監督になった。
 「○○にとってはいい」と、自分たちの立場より上位概念を○○に入れれば、この言葉はかなり便利に使えそうだ。
 負け惜しみ的な相手を腐す言葉、悔しさのあまりの捨てゼリフも、私にとっては好物だけど、こういううまい逃げ方はそれもまたいい。こうした言葉は恐らく訓練を経て身に付くものだと思う。人間性だけで、こうしたテクニカルな言葉が出てくるはずがない。恐らく、アメリカでは敗者としてはよくあるセリフなのではないだろうか。
 元の記事をたどると、英語では、こう言う。

It was a good day for baseball. Bad day for the Marlins.

Marlins manager Skip Schumaker on possibly walking Dodgers' Shohei Ohtani in 50-50 game: 'F*** that' - Yahoo Sports

 原文は「野球にとってはいい日だった、だけど……」となっている。
 率直に、いい面を先に持って来ることも、こうした場面では基本なのかもしれない。

言葉こそは最大の力

 人々の前で語らなければならない人(立場)となったら、やはり言葉での表現こそが最大の力となる。
 いまの時代で、多くの人たちがこの力の使い方で失敗している。その例はここには挙げないけれど、ニュースを見ているとよくわかる。いらぬ反感を買ったり、ろくに詳細を知らない人もそこだけを切り取って嫌悪してしまうような「言葉」の使い方。
 力は使い方しだい。力がある人でも使い方を間違えればとんでもないことになるし、力のない人でも正しく使えば共感を得ることもできる。
 最近、本を読む人が減ったなんてニュースがある。それについては、こういう見方があることも紹介しておきたい。

 この記事を読むと、本離れはこの統計の特徴ではない。

「若者がひどい」ではなくて「高校生以上になると、いくら年を取っても読書率が変わらない日本人のふしぎさ」に着目したほうがいいのではないでしょうか。

「不読率60%の衝撃」?結論ありきの「本離れ」論のデタラメ 令和5年度国語に関する世論調査を読む(飯田一史) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 他国と比べて、本を読む人は、何歳になっても読み続けている傾向があるというのだ。これは日本の特徴だと筆者は指摘している。
 ところが、ニュースのインパクトとして「また本離れが加速したね」と言ってしまうと「あー、本屋さん、減ってるもんね」となる。本屋さんで本を買う人の特性は、また別の調査が必要だろうけど、連想して結びつけてしまう。私もよく、そういう連想ゲームをやる方で、フィクションづくりにはそれがいい結果に結びつくこともあるけれど、現実はまったく違う。
 少し話が逸れてしまったけれど、長嶋一茂的に「ぼくがいいたことは」と前置きをして言わせてもらえれば、日本では比較的本を読む人が一定数いて、それは成人でも同様なので、言葉に関しての知識はそれなりに深いはずだ、と言える。それなのに、なぜ、立場によって重要な局面で誤解を受けたり反感を買うような言い方をしてしまうのだろうか。これは、単に、人前で話す訓練の不足にあるのではないか?
 私もそうだけど、知識があるからといって、その知識を使ったアウトプットができるわけではない。大谷選手のバッティング技術について知識がある人は、それを解説できるけれど大谷選手のように打つことはできない。この差はとんでもなく大きくて、知識とアウトプットにはそれと同じぐらいの違いがある。
 それなのに、知識があることで人前で話す立場になった人たちは、自分のような知識のある人間がしゃべることに間違いなどあるはずはない、と思い込んでいるのではないだろうか。
 ま、これを簡単にいえば「驕り」だけど、それは、スピーチの訓練を受ければ解消されるはずなのだ。今後、人前で話す人は、その点で言葉に対して謙虚に向き合う必要があるんじゃないですかね、といった結論をここに記しておこう。あまり強く書くとブーメランで自分に跳ね返ってくるから、こうした部分はごにょごにょとしておきたい。

※「○○」をタイトルに入れた記事↓

※本屋さんの減少について書いた記事↓


もう少しだけど、背景はまだ未定。

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