バンクシー展に行ってきた[前編]ー彼の狂気がアートになるときー
現在横浜で開催されている、バンクシー展「天才か反逆者か」を見に行ってきました。
昔から大ファンで、彼の版画を数点所持しているほど。3月からの開催でしたからいの一番に行きたかったのですが外出自粛によりずっと行けていませんでした。森美術館あたりで開催してくれるとアクセスしやすいのですが、横浜ということもありなかなか行けておりませんでしたが、事前にチケット予約をし行ってきました。写真撮影可能な作品も多いと聞いたので、いつものLeica持参で行ってきました。(撮影はすべてLeicaQにて行っております)
会場は横浜駅近くのアソビル、横浜駅周辺に詳しくないので迷っていまいました。
高島屋との位置関係は写真の感じになるので東口に出るとわかりやすいと思います。
圧倒的な作品数
世界各国を行脚しているバンクシー展。9/27までの開催になっており、長期に渡る展示は今回の情勢を鑑みるとにとってはありがたい期間設定だと思います。
入場前から展示は始まっているかのようなディスプレイでワクワクします。ディズニーのアトラクションのようでもあります。(ディズニーに対するアンチテーゼを持つバンクシーにとっては皮肉のようでもありますがw)
入り口にもバンクシーの代表作であるネズミが、彼の作品は黒色でキャラクターを描くことが多く単色で様々な表現をすることを得意とするアーティストでもあります。検温、手指消毒をし無事に展示へ。
一瞬バンクシー本人が!と思わせる、アトリエのセット。ものすごくリアルです。しかし、バンクシーは基本匿名、覆面で活動していますのでこのセットのような場所で本当に作品つくりしているのなかと少し疑問には思いました。。。
エリザベス女王が猿になってモチーフの個人的にはとても好きな作品でこのアトリエに本当に行ってみたい!そう思うようなリアルなセットでした。
彼の主戦場はストリートですから、塗料、ラッカー、スプレーがたくさん置かれています。バスキアの時も思ったのですがストリートアーティストは芸術や美術にアンチ的目線を持っている人からすると
ただの絵の上手い落書き
に過ぎず、迷惑行為をする害悪な人となってしまいます。もちろん、そうした見方も理解できますしいつの時代も振り切ったアートは理解されるのに時間を要したりもします。
ですが、バンクシーの作品は世界中で支持されご覧の各国を展示で回ってきました。2020年はオリンピックイヤーということもあり日本での開催となったと思います。彼の作品は一個一個何かしらのメッセージ性を訴えかけて伝えてくるものが多く、説明書きを見なくても子供でもその情報性を感じることができるようになっているのが特徴だと思っています。
なぜ、少女が原子爆弾のようなものを抱えているのか?
「Be beatuiful and mutiply」とはどういう意味なのか?
この絵一枚でもバンクシーが反戦活動の思想を持っている事が垣間見えます。
バンクシーの作品は油絵やアクリルより、スプレーによるグラフィティや版画(シルクスクリーン)で有ることが多いのをご存知でしょうか?
その製作工程も動画で紹介されていました。版画であれストリートであれ、ひと目見てバンクシーだ!!とわかる彼のアイデンティティは素晴らしいと思います。
こちらは3色使われています。ESSOと実名の会社を例に取り
”ガソリンを燃やしてるからビーチで裸になるぐらい暑い温暖化が進んでいる”
と風刺していて石油燃料社会へのアンチテーゼを感じることが出来ます。
こちらもTESCOという実在のイギリスのガソリン扱う商社のロゴを取り入れつつ風刺しています。化石燃料社会へのアンチテーゼとも取れますし、アンディー・ウォーホルのキャンベルスープ缶のパロディとも言えると思います。
アンディー・ウォーホルといえばこちらも彼へのオマージュ満載の作品と言えると思います。元ネタはご存じマリリンモンローですね。バンクシーはその作品の現代の解釈としてケイト・モスを選びました。色合いも完全なコピーというわけではないのですが、一見するとアンディー・ウォーホルの作品にしか見えないのでなにか意図があっての製作だったのかもしれません。いづれにせよ、沢山の現代アートの巨人たちにインパクトを与えたアンディー・ウォーホルって今なおすごい伝説のアーティストだったんだと改めて感じさせられる作品でした。
こちらは、例のサザビーズ(バンクシーの風船少女の絵がシュレッダーされた)を模した様な作品。バンクシーは大量消費社会、物質至上主義社会にもアンチテーゼを常に投げかけています。
こちらもセールに群がる愚人といった感じのメッセージ性が強く現れた作品。反戦、環境問題、消費至上主義社会、バンクシーはこういった社会性が強い作品を多く制作しています。
バーコードの檻から逃げ出したヒョウでしょうか、リアルファー製作のための動物乱獲に対するアンチテーゼです。説明書きを見なくても、彼が何を言いたいのか伝わるのがバンクシー作品たる所以かもしれません。
アカデミー賞作品、シェイプ・オブ・ウォーターのようなポスター。下半身が溶け出しているので海洋における環境破壊を憂いて居たのでしょうか。個人的には色合いも美しく好きな作品です。
バンクシーの主戦場は「ストリート」。実際に描かれた町並みを写真で紹介しているものもありました。先程も出てきたイギリスの複合企業TESCO。TESCOの旗に服従する市民を描いています。バンクシーはよほどこの企業が嫌いなんでしょうw
こちらの作品も実際のビルの壁面に描かれたもの。ショッピングカートを持ったまま落下する女性。
"we can't do anything to change the world until capitalism crumbles.
In the meantime we should all go shopping to console ourselves."
→私達は資本主義が崩壊するまで何も変えることは出来ない。その間私達は買い物をし自分を癒すことしか出来ない。(さじゃん意訳)
こちらも、大量消費社会、資本主義社会の風刺画として有名なものです。買い物に夢中すぎて高所から落下する。そんな馬鹿げたような現象が世界中で起こっているよ、みんな買い物に夢中になりすぎじゃないか?と問いかけています。
こちらも強烈な作品でディズニーキャラクター達が捉えられています。彼らが環境破壊を起こしたとでも言いたげですが、バンクシーはディズニーを標的にする傾向があるのでTESCO同様なにか理由があるのかもしれません。
こちらのストリートに描かれた、バズーカ砲を持ったニッパー。(ビクターやHMVのモデルになったあの犬ですねw)こちらの作品は単品でもシルクスクリーン作品として展示されていましたのでご紹介します。
どうして、ニッパーがバズーカ砲を?反戦なのか音楽業界に対するアンチテーゼなのか。とにかく風刺画と呼ばれるようなジャンルがバンクシー作品に多いのがわかっていただけたでしょうか?
ここまでご紹介した作品は全体の1/3ぐらいにしか過ぎません。前編ではバンクシー展素晴らしさを伝えきれないので回数未定で今後も紹介していきたいと思います。バンクシーが抱える闇、反体制的な思想、資本主義への挑戦そのどれもが刺激的でやっぱり彼の感性が好きだなと感じました。
続きもまた読んでくだされば幸いです。横浜開催は来月末までとなっておりますので、ご注意ください。
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