『野武士のグルメ』(土山しげる)
引き続きグルメ漫画の紹介です。
紹介というより感想文です。
正直に言いますと、これ程酷い漫画無いです。
理由の1つは、何といっても女性蔑視の表現です。
『野武士のおでん』では、主人公・香住武がふらっとおでんやに立ち寄ります。
店の外に「女性一人でも気軽に飲めます。お食事だけでもどうぞ」
と張紙があるのを見つけます。ちょっと入りにくそうで主人公は迷います。
「何をためらっているのだ。女性ひとりでも、と手を差し伸べてくれているのに 俺は女性ひとり客以下か」と脳内で自分を奮い立たせます。
頭の中の野武士が言います
「けっ!お主のような者を女の腐ったのと言うのだ」
…え?私女ですが何か?一人で行く店あるけどそんなに卑下される存在なんですか?
女が腐ったらどうなるんでしょうね。女は腐っても女でしょ?説明してほしいわ。
理由の2つ目は、自己正当化が多い主人公井だということ。
『カッコ悪いすき焼き』では、すき焼き店で思ったほど食べられなかった自分に納得できず自問自答するシーンがあります。
そして結論、お肉や割り下などを入れてお世話してくれた仲居さんのせいにします。
「歳のせいか。いやそれだけじゃない。仲居さんが自分の食べるペースを狂わせた。うん、そうだあの仲居が悪い」
自分が悪口を言われているわけでもないのに胸糞悪いです。歳をとったことを認めたくないのだろうね。
主人公は「人目を気にせず、己の流儀で、ぶっきらぼうに食べたい。それでこそ野武士」なんて思ってるのですが、あくまで理想の姿であり、野武士気取りです。そしてかなりの小心者です。
理由の3つ目。奥さんならみんな嫌がるでしょ。夜中にごそごそ起きてきて冷蔵庫開け~の食べてほしくないおかずに手を付け〜の。
『寝覚めの酒飲み』ではまさにこれをやっています。
お願い。やめてくださいそういうの。
夜中の物音もうるさいですから。
理由の4つ目は、定年退職して一人飯を楽しんでるおじさんがこんなこと考えてたら嫌だわ。と思ったから。
ひたすら頭の中で愚痴を言い、野武士とは~野武士なら~なんて妄想してるなら非常に寂しい人です。
私の父親も定年退職してますけど、こんな妄想してたら嫌だよ。
とにかく上下巻とも読み進めるほどに怒りが増します。肝心なグルメの話が頭に入ってこない…
男性の皆さんなら共感できるのでしょうか?
面白い本・漫画と出会うのは難しいもんです。
ではまた!