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「三世代同居」って知ってますか?|武田砂鉄『父ではありませんが 第三者として考える』〈前編〉



はじめに


この本を手にとったきっかけは、自分の住む地域の図書館主催のワークショップに参加したことからはじまる。

大きな枠組みとして、現在の「生きづらさ」というものを、参加者が積極的にコミットして語り合う。

そんな場に参加しているのだが、大きなくくりの中の中テーマというべきものとして、「ジェンダー」を中心に本を通じてディスカッションを行った。

そのときに自分が持参していたのが、武田砂鉄氏の『父ではありませんが 第三者として考える』だった。

時間切れであまりフィーチャーする時間もなかったので、ここで改めてこの本と向き合い、何を感じたかを綴ろうと思う。

ただ、思いがどんどん沸き起り、
しかも2つのテーマに分かれてしまったので、〈前編〉〈後編〉の2回に分けた。

今回は〈前編〉である。


『生涯未婚』という経験値を積む


基本的に結婚するもの、と思われているからこの数値(「平均初婚年齢」)があるし、だからこそ、「生涯未婚率」という極めて失礼な数値が存在する。生涯未婚で一体、何が悪いのだろうか)

引用:武田砂鉄『父ではありませんが 第三者として考える』P14より

何かを経験するというのは文字通り経験だが、未経験を保つというのも経験だと考えている。経験者と未経験者が自由に重なり合うことによって、意見をぶつけ合うことによって、物事は重層的になっていく。

引用:同著 P17より

自分はこのままうまくいけば(?)生涯おひとりさまとして人生をまっとうするはずだ。

ただ、今はマイノリティと呼べるほどの少数派ともいえない。

50歳時の未婚割合を見ると、昭和55(1980)年時点では、男女ともに非常に低く(女性4.45%、男性2.60%)、男性と比較して女性の方がやや高かった。しかし、平成2(1990)年以降、男性の50歳時の未婚割合が急上昇しており、女性を大きく上回り続けている。令和2(2020)年の50歳時の未婚割合は、女性は17.81%であり、50歳の女性の約6人に1人は結婚経験がない。男性は28.25%となり、50歳の男性の約4人に1人は結婚経験がない。

引用: 内閣府『男女共同参画白書 令和4年版』より https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/index.html


データはやや古いものの、50歳の男性の約4人に1人は結婚の経験がない。

このデータのメッシュを細分化して、男女別、10代、20代、30代、40代、50代の観測値も見てみたい気もする。

国や自治体は、少子化対策のための政策を大盤振る舞いにバラまいているが、未婚原因の深掘りやパートナー探しの欲求率といったものには踏み込んでいない。

おそらくは、モデルケースの設定から見直さないと、現代の「婚姻」の認識がいつまでたってもアップデートされないと思う。


第三者の当事者として考える

第三者にも当事者性がある。「ではない」側から眼差しを向けたい。

引用:武田砂鉄『父ではありませんが 第三者として考える』P19より

未婚経験値を稼いでいる者として、この「ではない」(蚊帳の外)立場で、ようやくコトバを発せられる気がした。

日ごろ、未婚だ、既婚だでくくる必要性を感じていない人に向けての力強いメッセージがあって、なんだかホッとした。

よくよく考えてみると、多分お気楽な人生なんだな、と思う。

育児の不安
夫婦間の不満
責任の所在
住まいの計画

などなど。

ひとり者には抱えきれない課題や問題が山積しているんだろうなぁ、という想像はつく。

ただ、あくまでも、これらのしがらみは、ひとり者だと自己解決したり、
気軽に社会と呼応して、難局を乗り越えていけそうな気がする。

荷物が少ないのだ。

この立場でなら、自由に夫婦や父親母親に伝えることの出来る「変わったアングルの意見」を受け止めてほしいし、自分もまた受け止める「余白」を準備して、大きな気持ちで接することができそうだ。

お互いを受け止める「器」って大事だと思う。

この男女の非対称性は一体なんなのだろうかと考え込んだ……というのは正直ウソ

引用:武田砂鉄『父ではありませんが 第三者として考える』P23より

家族の姿の変化

家族の姿の変化を見てみると、昭和55(1980)年時点では、全世帯の6割以上を「夫婦と子供(42.1%)」と「3世代等(19.9%)」の家族が占めていた。令和2(2020)年時点では、「夫婦と子供」世帯の割合は25.0%に、「3世代等」世帯の割合も7.7%に低下している一方で、「単独」世帯の割合が38.0%と、昭和55(1980)年時点の19.8%と比較して2倍近く増加している。また、子供のいる世帯が徐々に減少する9中、「ひとり親と子供」世帯は増加し、令和2(2020)年に「3世代等」世帯の数を上回っている。

引用: 内閣府『男女共同参画白書 令和4年版』より https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/index.html


寺内貫太郎一家もサザエさん一家もビックリな数字である。

祖父母+夫婦(両親)+子ども(孫)の形態が7.7%!

自分の知り合いも母親を「独居老人」と言って別宅にわざわざ住ませている。田舎育ちの昭和児からすると、ライフスタイルって相当変わってしまったんだんぁ、ってつくづく思う。

(後編へ続く)


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