受験・就職活動・仕事で苦労した人が偉いという価値観

資本主義の世界では、社会に対してバリューを提供できる人が偉いという通念があります。
役に立つ商品・サービスを生み出して、人々の暮らしを豊かにする。このような取り組みをしている人が高く評価されるのは当然です。

一方で、日本には受験・就活・仕事で苦労した人が偉いという価値観も存在します。それらを通して、社会に何かしら貢献しているわけではなくても、苦労した経験そのものに価値が置かれるのです。
ここでいう苦労とは、本人の努力や能力では解決できない要素(不景気など)で生じた苦労を指します。
決して、本人の努力不足や能力不足により生じた苦労ではありません。

仕事で例えると、少ない時間で大きな成果を生み出した人よりも、たくさん残業しているけど、大した成果を出していない人が褒められる。70年代・80年代の価値観です。

こういう価値観のもとで、やたら過大評価される人たちがいるのです。
就職氷河期世代です。
最近、氷河期世代がやたら注目されています。新書もいくつか出版されて、ニュースでも話題に取り上げられます。
氷河期の苦労も社会に伝わるようになりました。
(私から言わせてもらうと、正確性に欠けていますが)

もはや、氷河期世代に対して、悪いイメージはありません。
今まで虐げられていた分
むしろ、名誉階級のようになっています。退役軍人のような扱いです。
氷河期というだけで、大学受験、就職活動、労働環境が大変だったと
同情の目を向けられます。
1973年度生まれ(世代人口ピーク205万人)の大卒や
1977年度生まれ(就職率過去最低55.0%)の大卒は、最強に偉いです。
(労働環境は、氷河期全般で大変でしたけど、受験・就活は学歴や就活時期で変わります。)

一方、ゆとり世代やZ世代が置かれた状況はどうでしょう。
公立学校は週休2日でした。
95年度生まれ以降は土曜登校を経験していません。
大学受験や就職活動はイージーです。
レベルが高い大学や大企業であっても。
コロナ禍の悪影響も殆ど受けませんでした。
労働環境もここ10年程は改善されました。

氷河期世代からしたら、羨ましいでしょうね。
その分、上の世代からの「苦労が足りない」バッシングが
激しいのですけど。
氷河期世代が引退するまで、20年くらい文句を言われ続けます。
不名誉な世代です。私たちは。

これからは、若い世代ほど大学受験や就職活動は
より一層イージーになります。少子化がますます進みますから。
労働環境は分かりません。
長時間労働やハラスメントは減るでしょうけど、
日本の経済力が落ちるため、低賃金がデフォルトですね。

私たちが将来、低賃金・高負担(税金・社会保険料)でも、
誰からも同情されず、若い頃に楽したのだから、文句言うなと一蹴されるだけです。金くれるなら、同情しろ。(同情するなら、金をくれの反対です。)




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