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ワクチン接種とナッシング財布
風邪の治りかけの時のような、倦怠感が続いています。
こんにちばんは、藤川です。
昨日、新型コロナワクチンの二回目の接種を行いました。
巷の例の如く、僕にも副反応が牙を剥きました。
とはいっても、39度以上などの高熱は、ありません。
熱は一番高くても37.9度。平熱が36.5とかなので、まあ微熱より少しばかり高いとった感じです。
夕方頃にはこれくらい下がりました。
しかし、襲いかかる倦怠感。これがしんどい。
普段から軽い倦怠感は、肌身離さず持ち歩いているのですが、今回ばかりは勝手が違います。
持ちすぎて、両手が塞がったような気持ちです。
節々の痛みも気になります。
インフルエンザにかかった時のように、軋むような痛みです。
「副反応が辛いので、今日は書くのお休みしようぜ」と、僕の心のワルイやつが囁きました。
しかし、書けないほど辛くはないと分かっている以上、こうして布団の中で、スマホを使い書く他ないのであります。
そんなわけで、今回はワクチンについてのお話。
「病は気から!」
金曜日に、会社の人と話している時でした。
先輩は、すでに接種を終えており、副反応もそれほどひどくないと、話していました。
とはいえ、友人の中には、39度台の熱が、数日続いた人もいます。
不安に駆られてそう漏らすと、先輩は大きな声で笑っていいました。
「大丈夫だって! "病は気から"だよ!」
……いや、「病」ではないんよ、副反応なんよ。
どちらかというと、「病」に備えて打つやつだから、「気」側の方が性質としては近いのよ。
何てことは言わずに、曖昧に笑ってその場をやり過ごしました。
そして次の日の土曜日、僕は妹を連れ、接種会場である、グランメッセ熊本まで車を走らせました。
会場にて
集団接種会場であるグランメッセでは、トントン拍子に作業が進められていました。僕たち接種者は、係員に案内され、移動し、速やかな手続き、そして接種を終えました。
あまりにも早すぎて拍子抜けしたくらいです。
まるで、ベルトコンベアで製造される、お惣菜にでもなった気分でした。
また、今回の注射も痛くなかった!
当方、注射は大の苦手なのです。その恐怖については、以前熱弁しております。
お時間ある時にどうぞ。
さて、看護師さんは前回と違う人でしたが、この方も相当な腕の持ち主と見ています。
痛みを感じさせる前に、一瞬で始末する手際の良さ。
あれ、何かアサシンみたいになっちゃった。
白衣の天使です、お間違いなく。
大騒動
接種を終えた帰り道。
僕と妹は、身体が動くうちに、熱に備えて買い込みをしておこうと、家の近所のスーパーに立ち寄りました。
僕はカゴを持ち、スマホなどの私物をカゴに入れ、何を買おうか物色していました。
買い物の際に、カゴに持ち物を入れてしまうのは、僕の悪癖の一つです。レジで店員さんから、冷たい目線で手渡されることがあります。あんまりいい癖ではありませんね。
さて、僕と妹は何を思ったか、籠城戦前の兵士の如く、食糧と水分などを、次々とカゴに放り込みました。
ビタミンウォーター2L 二本。解熱剤。熱冷まシート。三ツ矢サイダー。ウィダーインゼリー。神戸ショコラ。グミ。かむかむレモン。天草サブレ。アイス一箱。雪見だいふく。かじるバターアイス etc……
「好きなものを食え」と言わんばかりの、謎のバブリー精神。その元に、ここぞとばかりと入れていきました。明らかに、食べたいだけの欲が、見え見えのラインナップもあります。
特に天草サブレは衝動買いです。こちらは、天草の土産物で有名なこちら。天草に来られた際は、ぜひお買い求めください。
いや、何故買った。
もうよかろうということで、商品でいっぱいのカゴを持って、レジに向かいます。
財布を出そうとポケットの中を探り、僕は異変に気が付きました。
(財布が、ない……!?)
一瞬ヒヤリとしましたが、大方車の中に置いてきたのでしょう。僕はカゴを妹に託し、車へ財布を取りに戻りました。
しかしそれが、恐怖の始まりだった。
ーーない……だと?
財布がない。
バッグの中にも、車の中にも落ちていない。
深呼吸をして、冷静に記憶を辿ります。
接種会場で財布から、健康保険証を抜き出した記憶がある。つまり、会場までは持っていた。
となると、会場内で落としたか。もしくは、車に戻る途中の駐車場で落としたか。
どちらにしても、グランメッセ圏内であることは間違いないはずです。
とりあえず妹に連絡しました。
2,000円相当の品をカゴに入れておきながら、「お金ないので、いいデスゥー!」なんて、迷惑極まりない客もいいとこです。
後で払うから、代わりに支払っといてくれ、と伝えました。
妹は了承したものの、その声は明らかに呆れていました。
さすれば、次はグランメッセに電話です。
グランメッセの警備の方に、財布を落とした時間帯と場所を伝えました。
「財布の特徴ば教えてください」と警備員の方が、しゃがれた声で、尋ねてきました。声から察するに、60代後半といったところでしょうか。
「茶色の長財布です」
「いくらくらい入っとりましたか?」
「さ、300円くらいですかね……」
これは、お金を持っていないとかではなく、僕、基本支払いは、キャッシュレスだからして云々。
「さ、300えぇん!?」
そこは気にしなくていいんだよ。
「……分かりました。じゃ、お名前ば教えてください」と警備員さん。
「はい。藤川です」
「ムジナ?」
だれが狸だ。
「いいえ、違います。藤川です。藤の花の藤に、流れる川です」
「『ふじ』って、草冠のやつですかね?」
「そうです! そうそう!」
「あー、はいはい! ほいじゃ『かわ』は、えーと」
「三本線のやつです」
「あぁさんずいのついとる!」
それは、「河」だろう。
「いや! 多分違います! あれです、『川の字で寝る』って言う時に使うやつです!」
「はぁ?」
嘘だろ? 「川」って伝えるのこんなに難しいの?
そんな風に警備員さんと、熾烈な問答をしているうちに、支払いを終えた妹が戻ってきました。
「ああ、『妹』。すまん、どうしても見つからなくて……」
と僕は横目で妹に謝りました。すると、
ーーボスッ
妹の手から、車の座席に、何かが放り投げられました。
「ばかやろう」という妹の罵倒と共に。
なんとそれは、僕の財布でした。
「え、何で……?」
僕は、状況が掴めませんでした。耳元では警備員さんの、「もすもす」という声が聞こえてきます。
「カゴの中に入ってたよ」
その時、記憶が甦りました。
それは僕の悪癖。
買い物カゴに私物を入れてしまうこと。
店に入り、カゴを手にした時点で、財布をカゴの中に入れてしまっていたようです。
それすらも忘れて、品物を次々と入れていくから、埋もれてしまっていたのでしょう。
だから、車を探すも見つからないのも当然のこと。
妹が支払いをする時、店員さんから手渡されたそうです。
顔から火が出るほど恥ずかしかったとか。
僕は警備員さんに「すみません…、ありました。もう大丈夫です」と、大変恐縮して伝えました。
「えぇ〜〜〜」と警備員さん。そりゃそうだ、本当にすみませんでした。
そして、恐る恐る妹の顔を見てみました。
その顔は、太陽の塔のように、こちらを睨みつけていました。
ーーまずい、殺られる。
そう察知した僕は、すぐさま妹へ、陳謝すること高速ししおどしの如し。
その姿は、マキシマムザホルモンのライブで、ヘドバンするファンを彷彿させたとか。
もちろん、それなり叱責されました。17歳の妹にです。よもやよもやだ。
24歳の兄として不甲斐ない。穴があったら何とやらです。
参ったと思いながら、僕の脳裏に一筋の光が宿りました。
ーーまさか……!
「ひょっとして、これもワクチンの副反応なのではないだろうか」
「ばかやろう」
妹はこちらも見ずに即答したのでした。
〜fin〜
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
僕はこのように、一つのことに答えを決めつけて、周りが見えなくなってしまうことが多いのです。
皆さんも、こんな阿呆にならぬよう、視野は広くお持ちください。
ところで、体調に関しては回復の兆しが見えてきました。えっちらおっちら書いている間に、少しずつ良くなってきたようです。
これから接種される方は、飲み物、解熱剤などしっかり準備を怠らないように、副反応に備えられてください。
あと、買い物カゴの中に、私物は入れないように気をつけてくださいね。
それではまた。