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「障害者の親」になって知ったこと
私の知る限り「障害者の親になりたい!」と望んでいる人に、これまで出会ったことがありません。
障害者のお母さんになる人たちは「まさか、私が障害者の親になるなんて」という人ばかり。私もそのひとりです。
障害者のお母さんは明るいわけではない
「障害者のお母さんは明るい」と、言われていることは出産前から知っていました。ただ当時は、産後にまさか自分が障害者のお母さんとなって、その言葉を言われるとは思ってもいませんでしたが。
「なぜ、障害者と関わったことのない私が、そのような知識を知っているのだろう?」と考えてみましたが、メディアの影響もあるし書籍もあるかなと思います。
しかし、実際に障害者の親になった私はけして「明るい」わけではありません。むしろ、これまでになく落ち込むことが多いのです。
考えて見たところ、おそらく明るく見えてしまうのは以下の辺りが原因なのではないかと思います。
・日頃、子どもの会話が少ないケースが多いために誰かと会うといっぱい喋り過ぎてしまう(楽しくて、笑い過ぎてしまう)
・人前で気丈に振る舞う癖がついている
どうでしょうか。
障害者のお母さんは強いわけではない
障害者のお母さんは「強い」と言われることも多いですが、そうでもありません。
もしかすると、周囲は「どこまでも耐える人」「どこまでも歯を食いしばって我慢出来る人」と思っているかもしれませんが、少なくとも私は違います。
心的にも体的にもギリギリの毎日で、心は弱り切っています。
障害者は必ずしもピュアではない
障害者は「ピュア」と言われることも多いです。
確かに、発達障害の子ども達は「周囲に染まらない(染まることができない)」という側面だけ切り取るとピュアに見えることもあるかもしれません。
しかし、みんなが想像するいつも穏やかにニコニコしている天使を連想させるピュアとは異なります。普通に起こったり問題を起こしたり、泣き叫んだりもします。
例えて言うならば、横柄でない社長や政治家もいるし、滝に打たれることが好きでないお坊さんもいるということです。
障害者は才能が必ずしもあるわけではない
障害者の親をしていると「この子はきっとすごい才能を持っているよ、見つけてあげてね!」ともよく言われます。
ちょっと待ってください。「障害者だから必ず才能があるとの情報の出所はどこなのか?」はたまた、「日々の育児と世話で手一杯な親がその才能の発掘もしていかねばならないのか?」と、常日頃思っています。
才能って何なのでしょうか。偉人伝などを読んでも「才能を親に見つけてもらった」と言う人見たことがありません。そもそも才能とは、自分で好きなことを見つけそれを誰にも反対されず周囲の目もはばからず夢中になり心が折れそうになっても一心不乱にそこに向った人が手にするものではないのでしょうか。
障害者の親への支援はない
障害者の親の支援(国からの制度)は基本として有りません。
障害を抱える子を支える支援はありますが、障害者の親が息を抜くためや困ったときに頼れる制度というのもありません。言うならば「障害者は制度で守るけど、親は身も心も潰れそうになっても自力で頑張れ」という現状です。
分かりやすいのが、放課後の過ごし。
一般的に、保育所や学童保育は、親の就労によって審査されます。障害児が学校の後に利用する「放課後デイサービス」は、親の就労は一切審査されません。その子に必要かどうかで判断され、その子に放課後等デイサービスでの過ごしは必要ないと判断されれば、親は仕事を辞めざるを得ません。
まじかよ!
マイノリティの人たちの困り感をわかっていない人が多い
日本には、優しい人がいっぱいいます。
ただ、障害者を始めとしたマイノリティの人たちがなぜ困っているのかを知る人は少ないように思います。勿体ないなあと思います。
皆と同じことを頑張る姿をインパクトを与える
普通の行いを障害者がするとインパクトが強いことが多いです。
例えば、言葉でのコミュニケーションが取れない自閉症の娘が丁寧に字を書いていると大きな衝撃を受ける人は多いです。それに、我が子達がみんなと同じように運動しているとその姿に涙する人もいます。
ただ、みんなと一緒に走っただけなのに…。もしかすると、多くの人の先入観の中には「障害者なのに」という、障害者に対する間違った認識があるのかもしれません。
障害者は、みんなと同じことが出来ない人ではなくて、支援さえあれば何でも出来る人たちのことです。
まとめ
老いも含めて、人はいつ「支援される側」になるか分かりません。「支援が必要な状態」になってから声をあげるのではなく、事前から「誰しも支援が必要になる可能性はある」と認識することは、いずれ必ず自分の役に立ちます。
ある日突然、何も知らずに障害者の親になった私からお伝えできる知っておいて欲しいことを幾つかあげてみました。
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