ダールにちなんだ妄想短篇
古本で「奇妙な味」と評される
ロアルド・ダールの短篇を読んでいる。
ミステリを思わせる筋の展開とオチ、
宮崎駿がダールのファンだそうだ。
ワインの銘柄当てを巧みに描いた「味」、
羊のもも肉で夫を殺す「おとなしい凶器」、
残忍にも小指を賭けさせる「南から来た男」、
妄想と錯乱の男の「兵士」を読みながら……
本の間に挟まっていた酒屋の広告に気付いた。
四つ折りになっていて開くと何と搭乗券。
三沢から東京、東京から熊本の乗り継ぎだ。
航空会社はJAL、氏名はYamaguchi Kei。
搭乗日は2月23日だが、何年かは不明。
ミステリ小説の中に挟まったミステリ。
Yamaguchi Keiとはどんな人物だろう?
Keiの名は男か女かでさえわからない。
熊本男子なら、頑固な肥後もっこすか。
熊本女子なら、肥後猛婦となるらしい。
そんな人間が三沢へ何しに行ったのだろう。
熊本と青森のつながりは何だろう?
三沢と言えば日本からアメリカへ初めて
太平洋無着陸横断飛行を成功させた
「ミス・ビーグル号」の出発地。
ならば、三沢基地に行ったのではないか。
妄想はボクの中で膨らみに膨らむ。
もはやすっかりダールになった気分。
こうなりゃパイロットだったダールにちなみ、
アメリカ空軍と日本自衛隊の物語はどうだろう。
「奇妙な味」の飛行士ものを書いてみるか。