緋文字A
赤い緋文字のAを
胸につけることを
義務づけられた罪人、
ヘスター・プリンの
生涯を描いた
ナサニエル・ホーソーンの
作品、『緋文字』。
ヘスターの罪は姦通である。
夫を持ちながら他の男の
子供を妊娠出産した。
17世紀のボストンでは
姦通罪に処せられた。
Aの緋文字の意味は
ADULTY、姦淫である。
日本でも江戸時代は
姦通は死罪だった。
姦通した妻と間男を
夫は殺して良かった。
果たせなかったら、
夫もまた死罪になった。
ヘスターは男の名を明かさず、
贖罪しながらひっそりと
幼な子のパールと暮らす。
魔女狩りさえあった世で
人目にさらされながら
あざけられながらも
子のために懸命に生きていく。
秘匿された父は誰なのか。
物語はやがて真実を明らかにする。
アメリカ文学の最高峰と言われる
100年も前の小説。
人間の罪とはいかなるものか、
この命題は今も尚、貴い。
姦通罪が風化した今でさえ。