「死んだ男の残したものは」
谷川俊太郎さんが詞を書き、
武満徹さんが曲を作った
「死んだ男の残したものは」。
戦争で残ったものなど
何ひとつないのだと、
戦争の虚しさを歌っている。
谷川さんは1931年生まれ、
武満さんは1930年生まれ。
ふたりとも小中学時代を
太平洋戦争下で送っている。
まさにこの歌はふたりの
実体験から作られているのだ。
♬ 死んだ男の残したものは
ひとりの妻とひとりの子供
他には何も残さなかった
墓石ひとつ残さなかった♬
一番の詞は「死んだ男」、
二番は「死んだ女」、
三番は「死んだ兵士」、
四番は「死んだ彼ら」
五番は「死んだ歴史」となる。
いずれも何ひとつ残せない。
美しい合唱でも歌われるが、
バリトンやソプラノの
ソロでも歌われているし、
森山良子や小室等もいいし、
長谷川きよしも聴き応えがある。
石川セリのボサノバ調もいい。
ウクライナの人とロシアの兵士に
平和を祈るこの歌を届けたい。
日本人が作った胸に迫る反戦歌。
戦争をしても何ひとつ残らない。
得られるものなど何一つないのだ。
失うだけであることを知って欲しい。