前代未聞の第九!
ベートーヴェン交響曲第九番、
どうとう“Freide”の本番。
場所は泣く子も黙る?
東京文化会館大ホール。
朝から声だし&リハーサル。
指揮者は浮ヶ谷孝夫氏、
オケは東京21世紀管弦楽団。
合唱指導の宇野徹哉先生は
僕らが上手く歌えるか
気が気ではない様子。
天井桟敷まで満員の客席、
熱い照明が僕らを照らす。
本番はバスバリトンとともに
僕らは椅子から立ち上がる。
“Freide” “Freide”と歌い出す。
第3楽章から舞台に上がって
このときからの暑さと緊張で、
歌う前にアルトの女性が倒れる。
歌い出してすぐにテノールが、
途中でバスの男性が倒れる!
前代未聞の合唱団員の転倒!
それもバタバタと倒れるのだ。
動揺がステージに連鎖する。
気が気ではないが音楽は流れ、
僕らは指揮を見て精一杯歌った。
最後はティンパニが鳴り響き、
“Gotterfunken” “Gotterfunken”
僕らは思い切り歌いきった。
まさに「神々の火花」が散った、
壮絶な「歓喜」の第九だった。