青楼芸者いつとみ
鳥文斎栄之の美人画に
惚れ込んでいる。
青楼芸者いつとみの
しなやかですらっとした
姿に魅せられてしまった。
十八世紀末の江戸時代、
寛政・文化年間の画家。
女性は皆十二頭身で
ほっそり柔らかで優雅、
表情はあくまで物静か。
ライバルの歌麿の妖艶、
淫靡な美人とは異なる。
遊郭の女性たちなのに
清楚で上品なのがいい。
柳の腰つきである。
美人大首絵は描かず
全身像にこだわる。
遊郭の女性たちを
仏様のように描いた。
娼婦のヴィーナスだ。
手に撥、足下に三味線
うぐいす色の着物に
淡い朱の帯と裾よけ
富本節が得意だった
いつとみが恋しい。
鳥文斎栄之のいつとみが。