「浅草キッド

ビートたけしが作詩作曲した歌、「浅草キッド」
同名でたけしが小説も書いたし、劇団ひとりが監督して映画にもなった。
でもとにかく、たけしの歌うこの歌が好きだ。
哀愁漂うハスキーヴォイス、涙が出る。
浅草のフランス座での下積み時代の苦難を描いた歌。
売れるヤツがいれば消えていくヤツもいる厳しいお笑いの世界。
死んでしまうヤツさえもいる。
たけしはきっとあの頃を思い出して歌っているのだろうな。

♬お前と会った 仲見世の
煮込みしかない くじら屋で
夢を語ったチューハイの
泡にはじけた 約束は
灯の消えた 浅草の
コタツ1つのアパートで
同じ背広を 初めて買って
同じ形の ちょうたい作り
同じ靴まで 買う金は無く
いつも 笑いのネタにした
いつかうれると 信じてた

客が2人の 演芸場で
夢をたくした100円を
投げて真面目に 拝んでる
顔にうかんだ おさなごの
むくな心に またほれて
1人たずねた アパートで
グラスかたむけ なつかしむ
そんな時代も あったねと
笑う背中が ゆれている
夢はすてたと 言わないで
他にあてなき 2人なのに

夢はすてたと 言わないで
他に道なき 2人なのに♬

やはり「浅草キッド」の詩ははしょれない。
5年前の紅白歌合戦でたけしが歌ったとき、
司会の内村光良は涙声で曲紹介、
審査員のサンドイッチマンの伊達みきおは涙。
お笑い芸人でなくても売れるまでの道のりはきつい。
誰だって怒鳴られた下積み時代はあるものだ。
「夢は捨てたと言わないで」
万感の思いで歌い上げたたけしの歌にみな泣かされた。