からたちの花
からたちの花が咲いたと
クローチェのマダムが
メールしてきた。
「花が咲く前は
冬眠しているみたいです」
どんなものかと見に行くと、
白い五輪の花が咲いている。
咲く前は丸い繭のようだ。
なるほど冬眠しているみたい。
驚いたのはカラタチの枝だ。
モザイクのような緑の枝に
長い強烈なトゲがたくさん。
「触らないほうがいいよ」と
マダムのご主人が叫ぶ。
枝ぶりは芸術作品のようだ。
トゲがあるので侵入者を防ぐ。
そこで生け垣にする人も多い。
北原白秋の「カラタチの花」も
「からたちのとげはいたいよ」と
2番はこのトゲを詩にしている。
からたちは漢字で枸橘と書く。
実は乾燥させれば生薬となる。
枳穀という名で胃薬となり、
美肌効果もあるというが、
生乾きは毒にもなるらしい。
マダムとご主人は
ゆずのような実だけど、
ポン酢にもならないという。
柑橘類だけに花にも
実にも香りがあるらしい。
うっかり嗅ぐのを忘れてしまった。