火星人
火星人はタコのような姿。
かの手塚治先生まで
火星人をそう描いていたが、
天文学者の誤解が誤解を呼んだ
想像画によるものなのである。
元は19世紀のイタリアの
天文学者が火星に溝を発見。
フランスの天文学者が溝を
運河と誤訳して運河なら
造った者がいることになる。
この話がアメリカに渡り、
天文台を造って火星を観察、
これほどの運河を造る者なら
脳が発達して頭が大きく
重力が乏しいから足が細いとした。
この記述を英国のSF作家、
HGウェルズが『宇宙戦争』に用い、
タコのような火星人の絵が挿入された。
そんなある日全米のラジオ放送で
突然緊急ニュースが流された。
「午後8時50分、
ニュージャージーの農場に
巨大な光る物体が落下、
タコのような怪物が湧き出て
人間を襲い、燃やしている」
ニュースを聞いた100万人が
大慌てで家を飛び出し大渋滞、
給水塔を火星人を思って発砲したり
全米中が大パニックになった。
フェークニュースに踊らされたのだ。
『宇宙戦争』は我が国にも入り、
少年誌で持てはやされて日本中に、
タコのような火星人が常識となる。
世界中の常識となった火星人は
100年経った今も尚常識である。