いい女は小さな平盃で

夏の夜はそよ風でも吹いていたら

縁側でいい女と晩酌をするに限る。

花火でも見られたら最高だが、

満月や三日月など月を愛でればいい。


お盆に冷酒の入ったちろりに盃、

色とりどりのお猪口には

和え物や酢の物などを少しずつ、

ゆっくりと夏の宵を楽しむのだ。


いい女と酒を酌み交わすとき、

男はぐい飲みで構わないが、

女は平盃でなくてはいけない。

江戸の女の粋がそこにあるからだ。


筒状のぐい飲みは口を縦に開けるが、

平盃は口の形を変えずに飲める。

つまり、いい女のいい顔が崩れない。

おつにすましたまま酒をいただける。


「あんさん、一杯いかが」

「おお、おめえも飲め飲め」

とまあ、さしつさされず、

宵に酔いがすすむって寸法だ。


「月も綺麗だがおめえはもっと綺麗だ」

「ああら、そうかい、いやだねえ」

「あははは」「おほほほ」

その後はさらなるお楽しみが待っている!